アムネシアを枯らすな 3 (ページ22)

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121.今や店長ページ22

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「そうそう！この人が凄い監視してるみたいだったんだよね！」

「あはは…そうでしたっけ？ごめんなさい…俺、その時のこと覚えてないです！」

店員らしきその人は、眉毛を八の字にして困ったように笑う…

あぁ、この人…確か、先週も接客してくれた、ジョンインと仲良さそうだった人だ…。

私を見て、なんか笑ってた気がするけど。

「なかなか注文されないので、聞きにきちゃいました。もうお決まりですか？」

にこにこと爽やかな笑みを浮かべる店員さん。

名札を見ると、キムジョンデ、と書いてある。そういえば、ジョンインも”ジョンデヒョン”って呼んでたっけ。

「いえ、まだ決まってないんです…」

「そうですか…時間もあるようですし、注文するならお早めに。会計はジョンイン持ちだそうなので、気になさらないでいっぱい食べてくださいね～」

…ん、この人…なんか、ジョンインと繋がってるって感じだな。

「決まったら呼ぶので、それまで店内で待ってていただいていいですよ、寒いし、店内にはお客さんたくさんいるみたいだし。メニューが多くてなかなか選べないんでねー」

ベッキョンは笑顔を作りつつ…少し冷たさを感じる声でジョンデにそう言った。

「それはそれは…あぁ、メニュー迷ってるんなら…」

ジョンデはメニュー表を取って広げる。

「Aちゃん、よくこれ食べてたよ。今日もこれにしたら？」

ジョンデが提示してきたのは、ミートソースパスタ…先週食べたのと同じだ。

…ん、よく、食べてたって、どういうこと…？

「私、このお店によく来てたんですか…？」

ジョンデにそう聞くと、ジョンデは一瞬目を丸くして、柔らかく笑った。

「ここは、Aちゃんとジョンインがバイトしてたカフェなんだよ。ここで、2人は出会ったんだ」

「へぇ…！」

ここが、出会いの場なんだ…と思いながら、キョロキョロと周りを見回す。

…何も、思い出せないけど。

「俺、当時はバイトリーダーだったんだけどさ、正社員になって、今や店長！出世したでしょ！」

ジョンデは人当たりの良い性格なようで、にこにこしながらそう言った。

「…仲良かったもんね、A、この人と」

ベッキョンはボソッと機嫌が悪そうに言う。

「同い年だからね…ほんとに、俺のことも忘れちゃったんだね」

ジョンデが少し切なそうに言った。

「ご、ごめん…」

何も…思い出せないや。

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