アムネシアを枯らすな 3 (ページ16)

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115.君だって一緒だろページ16

＜ジョンイン＞

ジョンデヒョンは、不思議に思いながらもなんとか了承してくれて。

電話を切る。

「ふーっ…」

最後…あの人に、電話しないと。

少し震える手で、連絡先でビョンベッキョンの名前を探し、通話ボタンを押す。

『…も、もしもし』

慎重そうな声に、少しだけ、安心する。

「もしもし。明日の件で電話しました」

『明日！！あ、会わせて…もらえ、ますか…？』

「…はい。その代わり、先週と同じで2時間だけです。あと、俺近くにいるんで、変な真似しないでください。それと、セフンが今日体調崩したので、明日も崩したら速攻中止です」

『う、うん、分かった！大丈夫、です！』

「…ほんとに、Aに何もしないですよね？」

『し、しないよ！』

「…前科、あるじゃないですか」

俺は、知ってる。

記憶を無くす前。DVを反省したベッキョンに、Aと1週間に1回会うことを許していた時…

『それは、ジョンインくんだって、同じだろ』

…あぁ、やっぱりこの人…

怖い。

『先週、Aを抱いただろ。気付いてないとでも？』

「…俺たちは、夫婦なんで」

『俺は、合意の上だった。でも、先週…帰ってきた時、Aは泣いてた。ごめんって…言ってた。無理矢理やったんじゃないの？』

「それは…」

あぁ…嫌だ。

『…ジョンインくん。君は、僕が許せないと思うけど…僕だって、君のことを許したわけじゃないよ』

ずっしりと、その言葉が心臓に突き刺さる。

『散々Aを苦しめたのは、君だって一緒だろ』

…耐えられない。

「明日、12時。あのカフェで。では」

何かベッキョンは言ってたかもしれないが、構わずに電話を切る。

…散々、苦しめた…。

『ジョンイン…おかえり。遅かったね』

『A…まだ寝てなかったのか』

『…うん。最近、寝れなくて…』

Aの顔が酷くやつれていることを、どうしてあの時気づかなかったんだろう。

『…そうか。明日も仕事だろ。早く寝ろよ』

『ジョンイン…ごめんね…』

『…なに』

『私…休めって言われちゃった…』

『…は？』

『仕事っ…そんな状態で、任せられないって…お金っ…！どうしよう！！私が働かなかったら…2人の子を養えなくなっちゃう…どうしよう…どうしよう…！！』

…当時の俺は、クズだった。

パニックになっているAを、めんどくさいと思った、なんて。

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