アムネシアを枯らすな 3 (ページ12)

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111.当たり前が大切ページ12

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お粥を食べ終えたセフンは眠くなったみたいで。

トントンと背中を叩いているとすぐに、スースーと穏やかな寝息が聞こえ始めた。

…そっか。

片親同士の、似たような境遇で。

ジョンインとテミンママは、その苦労を共有する仲だったんだろう…どこまで深い仲かは、知らないけど。

そこに、私が現れて…。

…ん。じゃあ、朝話しかけてきたのって…たまたま？

『…今朝、女の人に話しかけられたりした…？』

『うん…それが、どうしたの？』

『あー…なんか、変なことされたり…しなかったか…？』

ジョンインが電話でそう言ったのは、どうして…？

なんだか、もやもやする。

と、思っていると。

ガチャ、と玄関の方で音が聞こえたので、セフンを起こさないようにそっと寝室を出る。

「A、ただいま…セフナは…？」

「おかえりなさい、ジョンイン。セフンは眠ったみたい」

「そっか…」

ジョンインは安心したように息を吐くと、カバンを椅子に置いた。

「体調は、良くなってるよ。熱も下がったし、顔色も良くなった。点滴、頑張ってたよ」

「はは…よかった。ありがとな、病院連れて行ってくれて」

ジョンインはジャケットを脱いで椅子に掛け、ネクタイを緩める。

「ううん、当たり前だよ、母親なんだから」

私がそう言うと、ジョンインは一瞬目を丸くして、ふっと柔らかく笑った。

「…その当たり前が、大切なんだよな」

そう呟いて、そっと私に近づいてきたかと思えば、優しく抱き締められる。

「つくづく、思うよ。A、お疲れ様。ありがとう」

「ふふっ、どうしたの、急に」

私も腕をジョンインに回して、微笑みながらジョンインを見上げる。

「ジョンインこそ、お仕事お疲れ様！」

目が合うだけで…それだけで、お互い想いが通じ合うように、そのまま、唇を重ねた。

「…さ、お腹すいたでしょ？食べよ」

唇を離すと、少し恥ずかしい気がして、照れ隠しのように腕を離すが。

「先にAを食べたい」

…なんて言いながら、なかなか腕を離してくれず、じりじりとソファの方に押される…ったく、もう…。

「疲れてるんじゃないの？」

「ううん、今のキスで復活した」

平気でそんなことを言いながらソファに押し倒されて…

そのまま、いつもより少し早く、甘い時間が始まった。

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