アムネシアを枯らすな 3 (ページ2)

今日:29 hit、昨日:16 hit、合計:64,731 hit

101.時間大丈夫なの？ページ2

.

「いや…急いでるんでしょ？大丈夫…家に、お金…」

ベッキョンからの封筒…お金、入ってたし…

最悪、それを使えば…

「…アイツの金使うつもり？絶対嫌だ。あの金には触るな。すぐ取ってくるから、待ってろ」

ジョンインは険しい顔をして、スタスタと車に向かって行った。

…よっぽど、ジョンインはベッキョンのことが、嫌いらしい。

「あー、セフンくん、そろそろおんまとバイバイしないと！」

イーシン先生が、セフンの手を繋いで言う。

「おんまと…ばいばい…」

「あんまり長くいると、ますます離れたくなくなっちゃうよ～？それに、1人で大丈夫！っていう姿見たら、おんま、セフンくんのことかっこいいって言ってくれると思うけどなぁ～」

「か、かっこいい、かぁ…」

にやにやと笑うセフン…イーシン先生って、子どもの心を動かすのが上手いな…。

「お、おんま！僕ね、1人でも、大丈夫なんだ！おんまとはなれるの、ちょっとさみしいけど…ま、また、よるごはんつくって、おうちでまってて！」

「ふふっ…うん！セフナ、かっこいいねぇ！」

「え、えへへ…」

セフンは照れるように笑った後、パッと顔を上げた。

「じゃあね、おんま！いってきまとぅ！」

「うん、いってらっしゃい！」

イーシン先生に手を引かれて、最後の最後まで、ずっと私に手を振ってくるセフン。

「…見えなくなっちゃった…」

私が、そう呟いた時。

「A、これ…」

ジョンインが、入れ替わりでやって来て、私の手に封筒を握らせてきた。

「こんだけあれば、足りると思うから…」

「…うん、ありがとう」

ジョンインは軽く頷いてから…俯いた。

「あの…ごめん、さっき、キツい口調に、なった…」

そう言ってジョンインは、下唇を噛む。

彼なりに…気にしてたみたい。

普段はぶっきらぼうだけど…結構繊細なのかな。

「ううん、大丈夫だよ。これで、おいしい晩ご飯作るから…はやく、帰って来てね！」

「A…」

ジョンインは一旦目を見開いて、すぐに、ふっと優しい笑顔になり、一歩、私の方に踏み出す。

「うん、仕事、頑張る。いってきます」

顔が近づいてきて、そっと、唇にキスされる…

「ん゛ん゛！！」

チャニョルの咳払いに、パッと離れる2人…

「…ジョンインくん、時間大丈夫なの？」

ジトッとした目のチャニョル…

「や、やべ！いってきます！！」

ジョンインは急いで、車に走って行った。

.