ユウガオは夜に咲く 6 (ページ7)

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254.好きの押し付けページ7

＜カイ＞

俺は、チャニョリヒョンとギョンスヒョンが持ってきた花束を見ていた。

…あの裏切ったキャバクラ店とも、縁を切り。

この花屋にも、資金援助をやめることにした。

今までの俺を捨てて、Aの、ことを。

「これ、部屋に飾っておこうか」

俺はAに言うが…Aは、相変わらずベッキョニヒョンを撫でていて…無視。

「…カイ、病院ってさ、生花飾るの禁止な所多いんだよ。残念だけど、それ持って帰った方がいい」

Aが返事をしないと悟ってか、セフンが助け舟を出してくれた。

「そうか…」

俺は、花束を見つめる。

綺麗、なのに。

Aが好きそうな花…飾ったら、喜ぶだろうに。

「…プリザーブドフラワーにしてもらおう」

俺がそう呟くと。

「意地でも渡したいんだねーカイはー」

ベッキョニヒョンが棒読みで言う。

「重い、女々しい、ねちっこい…Aが嫌いそうだね！」

Aはそんなベッキョニヒョンを黙って撫でる。

重い、女々しい、ねちっこい、か…否定はできないな。

「好きだろ、A、こういう花」

「わー、出た！カイの好きの押し付け！」

好きの、押し付け…

押し付け、なんて、思ったこと…

「ベッキョニヒョン、そろそろ突っかかるのやめたら？痛い目見たくせに」

セフンがいつものトーンで言う。

「あー、そうだった！セフナはカイの味方だった！」

「Aヌナやベッキョニヒョンよりはカイの味方するよ、俺は」

「あー、カイもセフンくらいストレートに言ってくれたら楽なのになー」

…ベッキョニヒョンだって、今嫌味言ってるじゃないか。

ストレートに、言ったら…

俺は、ベッキョニヒョンすら言葉で傷つけるのを躊躇してしまう…

尤も、ベッキョニヒョンが傷つくわけないんだけど。

俺が言われたら嫌なことを人に言うのは…。

「ったく…いつまでここは喧嘩続けるの…ほんと、面倒くさいからやめて」

セフンもほっとけばいいんだけど…なんだかんだ、気にしてくれてるんだろうな、俺のこと。

…友達、だから。

「カイがAを諦めればいい話！Aのために尽くしても時間を無駄にするだけ。はやく代わりを見つけなよ」

代わり…

「…ベッキョニヒョンならわかるだろ。Aの代わりはいない」

そう言うと…Aは、チラリと俺の顔を見て…

苦い顔をした。

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