296.アイツのためか ページ49
＜カイ＞
「うわぁ、美味しそうだね、A！！」
「そうね、ベク」
出前で、オードブルを注文し、到着すると。
ベッキョニヒョンは目の前の美味しそうな料理に、機嫌を取り戻したみたい。
「いただきまーす！」
「いただきます」
「いただきます…」
ベッキョニヒョンとAと俺の3人で、オードブルを囲むという…なんか、すごい変な感覚。
「んー！おいし！チキンおいしー！」
ベッキョニヒョンは、いつもの感じではしゃぎながら食べてる、けど。
「よかったね、ベク」
「Aも食べなよチキン！ずっと野菜ばっかり食べてるじゃん！！」
…俺も、気になってた。
Aが偏食なのは知ってるけど…セフンによると、昔は揚げ物が大好きだったらしい。
だからチキンも食べれる、むしろ大好物のはずなのに。
「A、食べないとまた倒れるぞ」
「いや…大丈夫」
俺が言ったことに、ちゃんと返してくれる…会話できてるってだけで、俺としてはちょっと嬉しいんだけど…
いやいや、また倒れられたら困る。
「A、食べて！はい、あーん！」
ベッキョニヒョンも食べさせようとするが。
「食べないってば…」
「どうして！こんなに美味しいのに…」
「…太る、から…」
…え。
「A…？」
「十分痩せてるよ！！それ以上痩せなくていい！！」
「べ、ベッキョニヒョンの言う通りだ！それ以上痩せてどうするつもりだよ！！」
「だ、だって…」
ベッキョニヒョンと俺で猛抗議する。だって、って何だよ。
「食べて！強制！！」
「ちょ、ベク、んっ！！」
ベッキョニヒョンは無理やりチキンをAの口に押さえつけ、鼻を摘んで口を開けさせてその隙にチキンをねじ込む…
…少々、いやめちゃくちゃ手荒だけど…そんくらいしないと頑固なAは食べなそうだから…目を、瞑ろう…。
Aは観念したのか、チキンを噛んでもぐもぐ…可愛い…じゃ、なくて！
「…おいしい」
ポツリ、とAは呟く。
「でしょ！？ほら、もっと食べなよ！」
「…久しぶりに、こんな油っこいもの食べた…」
Aは穏やかな表情で微笑む。
体型…元々ぽっちゃりだったから、気にしてたのか…？
そんな、ここまで痩せなくていいのに。
俺は、どんな体型でも、
『僕？僕はね…細い方が好きかな。なんか、守りたくなるから』
…あぁ、ジョンインのため、か…。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年9月17日 21時
