283.折った割り箸 ページ36
＜チャニョル＞
「A、あーんして！」
「嫌です」
「さっき静かにしてって言われた時ちゃんと聞いたよね？ご褒美がないと躾にはならないんだけどな〜」
「…ベク？ご主人様を脅すの？」
「あーんしてくれないならもう言うこと聞かない！午後は暴れてやる！」
「…はぁ。手間取らせないで」
「すんなりやってくれればい、むごっ！！」
Aはカレーをスプーンで掬ったかと思えば、ベッキョンの口に思いっきりそれを突っ込む。
「んー、おいし！ありがとー！」
…Mなの？ベッキョンって。
なんだかんだ気になってしまい、隣のテーブルの会話、聞いちゃうんだよな…。
デレデレしてるベッキョンに、真顔のA…
ボキッ！
突然、目の前で何かが折れる音がして。
「か、カイ…？」
カイの持っていた割り箸が、真っ二つになっていた。
「…あ、やば…」
折ったのは無意識だったようだ。
「気にするだけ無駄だって言ったろ？」
ギョンスが新しい割り箸をカイに渡しながら言う。
「…気に、なりますよ、そりゃ」
カイはボソッと言いながら箸を受け取った。
「大丈夫。あんなやつ、カイのライバルじゃないだろ」
ギョンスの毒舌が炸裂した、と思ったら。
「…ねぇ、それどういう意味？」
ベッキョンがゆらりと立ち上がってこちらを睨む…
す、すごい、殺気…
「ベク、やめなさい」
Aが制止を促すけど…
「あんた、俺の何を知ってんの」
どうやら、ベッキョンの逆鱗に、触れたらしい。
一歩、二歩とこちらに近づいてくる…やばい、感じがする。
「ぎ、ギョンス、とりあえず謝って！」
俺は小さな声でギョンスに言うが。
「カイを困らせるなって意味だ。コイツにははっきり言わないと分からないだろ」
「ぎ、ギョンス…！！」
なんでそんな火に油を注ぐようなこと…！！
相当ギョンスはベッキョンが嫌いらしい…っていうか、ほんと肝が据わってるんだよな、ギョンスって…。
俺だったら、こんな殺気ムンムンのベッキョンに言い返すなんて…こ、怖っ！！
「俺がカイを困らせる？ハッ！笑わせないでよ。困らされてんのはこっちなの！」
「被害者ヅラか？お前は気づいてないのか。カイだけじゃない。午前中、お前のせいでみんな仕事が手につかなかった！」
ギョンスは応戦するように立ち上がる。
「Aさんだって、困ってるんじゃないのか？」
ギョンスがそう言った時。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年9月17日 21時
