279.お昼のお散歩 ページ32
＜チャニョル＞
♪〜
お昼の時間になり、合図の音楽が鳴る。
…午前中、全然仕事進まなかったんだけど。
俺だけじゃない、たぶんみんなそうだし。
その割に、疲労感がすごい…
それもこれも…
「A〜！！」
嬉しそうにこちらに駆け寄って来る、キャンキャンうるさい子犬のせいである。
「今から昼休憩なんだって？じゃあ今は就業時間じゃないよね！いちゃいちゃしてもいいよね！一緒にお昼ご、」
ガタッ
ペラペラ喋るベッキョンが隣まで来た時、Aはパッと立ち上がった。
「…ベク」
「なぁに？」
「話があるんだけど」
「んー、話の通じる相手じゃないよ、俺！」
真顔のAに対してベッキョンは満面の笑みで言う…
「…自分で分かってんのかよ…！」
ギョンスがボソッと呟く…超同感。
Aは少し考えた後。
「…来て」
「うおっ！」
ベッキョンのネクタイを掴んで引っ張り、歩き始めた。
「お散歩みたいでいいね、これ！ネクタイって首輪代わりになるんだね〜普段からしようかな〜」
尚も嬉しそうな…いやむしろさらに興奮していそうなベッキョンは、Aに引っ張られて去って行った。
シン…としていたオフィスは、たちまちザワザワとし始める。
「…ったく、ベッキョニヒョン…」
カイはため息をついて立ち上がった。
「チャニョリヒョン、ギョンスヒョン、お昼食べに行きましょう」
「カイ…えっと…Aとベッキョンは…ほっといても大丈夫…？」
「…大丈夫じゃないですけど。俺が行ったところでどうにかできるような人らじゃないんで」
「そ、そっか…」
ちょっと気になるけど…まぁ、カイの言う通りだと思うし…。
とりあえず、俺とギョンスとカイで食堂に向かった。
「カイは…アイツが来ること、知らなかったのか？」
いつものように定食を食べながら、ギョンスが聞く。
「はい、もちろん。知ってたら、全力で止めてます…まぁそれでもどうにもならなかったと思いますけど」
カイはいつもより機嫌が悪い…そりゃそうか。
Aとの邪魔、されてるわけだもんな…。
「そうか…でもチャニョルは、知ってたみたいだけど？」
ギョンスは目を細めて俺を見る。
「は？」
カイは鋭い目で俺を睨んだ。
「あ、いや…土曜日の夜、バーで話になってて…お、俺も、止められなかった…」
カイは、はぁ、と大きなため息をついた。
.
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年9月17日 21時
