275.朝のスピード感 ページ28
＜ジョンイン＞
「ん…」
カーテンの隙間から差し込む白い光で目が覚める。
あれ…朝だ…いつ、寝たんだ…？
昨日は疲れていたから、寝落ちして当然だろうけど。
隣を見ると…愛しい人が、すやすやと眠っていた。
穏やかな顔で…安心する。
頬を撫でて…そのままキスして。
目が覚めたら…Aは、俺にどんな態度を取るだろうか。
少し…怖いな。
「んーっ…！」
伸びをして、上半身を起こす。
何しよう、今日一日…
って、ん？
夜が明けて、朝になったんだよな。
昨日は、日曜日。
ってことは…今日は、月曜日。
ってことは…
パッと時計を見る…8時半。
「…え？」
仕事…始業、9時…
「やば！！！A、起きて！！！」
「ん…？なに…」
「仕事！！！」
「へ…？」
Aは寝ぼけ眼を擦りながら時計を見て…ハッとした表情をする。
「仕事！？」
「行くだろ？」
「行かなきゃ！！」
俺たち2人は慌てて準備する。
朝からドタバタドタバタ。
俺は、会社に勤め始めてからはこの家で寝泊まりすることが多かったから、幸いスーツや荷物ここに置いていた。
着替えて…顔洗って歯磨き…髪…適当！！
「A、準備できた！？」
「まだ！メイク…あぁ！いいや！車、ある！？」
「うん、下の駐車場に！」
「送って！ジョンイ、…カ、イ…キムジョンイン！！！」
「わ、わかった…！！」
このスピード感の中に、俺が何者かを考える余裕なんてない。
2人で急いで、俺の運転する車で会社に向かう。
あ…安全運転は忘れないように。
大切な人を乗せてるんだから…
その人は、昨日の疲れが取れてないようで、助手席で寝ている。
赤信号で止まった隙に、こっそりキスしたりなんかして。
甘い朝…いや、時間やばい！
会社に着いて、Aを起こして、2人小走りで部署に向かう。
2人揃って出勤、なんて、変な目で見られるかな…
いや、周りの目なんか、気にしない！！
と思いながら、自分たちの部署の部屋に、入ると。
みんなの目線は、揃って、誰かに釘付けになっていた。
…みんな、誰を見てるんだろう。
「おはようございます…」
小声で言いながら、みんなの目線の先を、見ると。
「あ！来た来た！！A〜！！！」
…そこに、絶対にいるはずのない男が、俺たちに向かって手を振ってきた。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年9月17日 21時
