273.あなたは誰 ページ26
＜カイ＞
「あー！もう！無理！一生やんない！！」
「え、一生は無理…ごめん、A…」
「…私も、一生は無理。したい時にしよ」
「A…じゃあ、」
「今日はもうダメ！終わり！明日、仕事！！」
シャッターを下ろすように布団を被るA。
…うん、俺も今日はさすがに。
心は…まだ、いけるんだけどね。体がついていかないや。
「A…お腹すかない？大丈夫？」
「ん…ゼリー食べる…」
「ゼリー…」
まぁ…この家にあるもので食べれそうなもの、ゼリーだけだろうし…。
買いに行くのも食べに行くのもめんどくさい。
「取ってくるね」
「うん、ありがと…」
重い身体を起こして…いてて。
明日、仕事かよ…大変だな…。
脱ぎ散らかした服を着てキッチンへ向かい。
冷蔵庫を開けて…やっぱり、大量の栄養補助ゼリー。
適当に何個か取って、寝室に戻る。
Aはくったりとベッドの上で座って、ベッドボードに背中をあずけていた。
「ほら、食べよ」
「ありがと…」
俺もAの横に座る。
「なんか…変なの。せっかく2人きりの夜ご飯で、2人ベッドで並んで栄養補助ゼリーなんて…味気ない」
Aがそう呟く。
『ごめんね…普通、こういう時って彼女がお弁当作ってくるもんだよね…』
『いいよ、僕たちらしくてさ！コンビニのサンドイッチでもAと食べるんじゃ全然違うよ。それに外！いい天気だね！』
『…ジョンイナ、ごめん、気を使わせて…』
『僕の本当の気持ちだよ？ほら、Aも食べて！あーん！』
「…A、あーん」
俺は食べかけだった自分のを、Aに差し出す。
「え…？」
「ほら、あーん」
「あ、あーん…」
俺が持ったまま、Aは口を付けて…
あーんって、言うほどのものじゃないけどね。
「俺たちにとっては、これが普通じゃん。一緒に食べれば、なんだって美味しいんだよ」
「…うん、そうだね」
Aは笑って、俺の体にもたれる。
「…いつまで、ジョンイナでいてくれるの…？」
Aはふと、言った。
いつまで…か…
そうだ、言わないと。
Aの思うジョンインはもういないのだと…
大好きなジョンインと憎きカイは、同一人物だって。
どっちも、俺なんだって。
「…A、あのね」
俺はゼリーを置いて、Aの顔を見る…と。
Aは、顔を歪めて俺を見ていた。
「あなたは…誰？」
.
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年9月17日 21時
