271.思いを吐き出すように ページ24
＜ジョンイン＞
翌日。
「はーっ！やったぁ！退院！！」
「A…声大きい…荷物俺が持つから、帰ろう」
「うん！」
無事、退院の許可が降り。
俺とAは、タクシーに乗って、Aの家に行くことにした。
「久しぶりの我が家な気がするー…！」
Aは解放されたように大きく伸びをする。
「はは…洗濯物、入れてくるね」
大きなリュック…きっと、たくさん洗濯しなきゃいけない服、入ってるだろうな…何日分溜め込んでんだろ、恐ろしい…。
そう思いながら、洗濯機に行こうとすると。
「…待って、ジョンイナ」
俺の手首を掴んで、Aは上目遣いで俺を見上げる…
ゴクリ、と喉が鳴る。
「そんなの、後でいいよ…せっかく、2人きりになれたんだから…ね…？」
ドサッと、大きなリュックが手から滑り落ちる。
ジョンインの人格なら…ここで照れて慌てふためくだろう。
今の、俺は…
「A…！」
「んんっ…！」
やっと2人きりになれた高揚感で、たまらずAを抱き締めて。
いっぱい、キスの雨を降らせる。
カイとして最後にAを抱いたのは…いつ、だったか。
よく、Aがバーに来たところを追いかけて、トイレで…。
Aも、拒否はしなかった。
でも最近は、特にAが冷たくて…カイがAを抱くことはなかった。
ジョンインとしては…何回か、あったけど。
「んっ…ジョンイナ…めずらし…積極的…」
Aは少し戸惑ったように笑う。
「嫌…？」
「…ううん、嫌じゃない…もっと、来て…？」
相変わらず上目遣いが上手い…俺の、好きなように…
「っ…たく…！！」
「きゃっ！」
俺はAを抱き上げて寝室に向かい、ベッドに下ろす。
「ジョン、イナ…なんか、今日…」
「んー？」
鎖骨に顔を埋める。
止められない…早く、Aが欲しい。
久しぶりの感覚に、俺は興奮していた。
「ううん…すごい…積極的で、かっこいい…」
「そう…俺のこと、好き…？」
「ふふっ、もちろん！」
あーあ、そんな風に笑うと…止められなくなっちゃうよ。
俺は、何もかも忘れて、本能でAを抱く。
性的欲求を満たすためじゃない…
自分が抑えていた思いを吐き出すように、全身で愛を伝える。
頭は空っぽで。
幸せという感覚しか、俺の身体は受け入れなかった。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年9月17日 21時
