ユウガオは夜に咲く 6 (ページ18)

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265.俺はひとりだページ18

＜ベッキョン＞

臆病…

人間なんて、みんなそうだろ。

弱いんだから。

ここ数日…特に、カイを土下座させてから。

色々…本当に色々、考えた。

カイは…Aを真っ直ぐに愛するために、自分を変えた。

周りを黙らせて土下座した彼に…昔のカイを、感じた。

Aが…好きだった、カイを。

その後、カイとジョンインに人格が乖離して、ジョンインの方を愛するようになってしまったけど。

またAは、カイのこと愛するように、なるのかな…

そうしたら、俺は…

「ひとりだ」

なんでこう、人間関係っていうのは確約が無いんだろう。

ずっと一緒にいてくれるという確約、裏切らないという確約、愛し続けるという確約…

生々流転としていて、不安定。

怖い。

大好きなAが、俺から離れていくの？

…嫌だよ、そんなの。

ジョンインの人格が出てきていた、あの短い時間ですら、耐えられなかったのに。

「1人…？」

チャニョルが恐る恐るといった感じで俺の顔を覗き込む。

『きみ、は…ひとり、か…？』

『独り、だよ。俺は、生まれた時から。そういう定めなの』

『チャ、ニョルはな…ひとりの、ひとにも…こえを、かけて…てを、さしのべて、くれるんだ…』

期待、してるのかな、俺は。

今まで、コイツはヤバいやつだと、みんな俺に近寄らなかった。

実の親には施設に入れられて…見捨てられた。

唯一俺を拾ってくれたスホヒョンとも、喧嘩してばっかり。

『きみ、は…ひとり、か…？』

昔からひとりだったはずなのに。

なんでこの言葉が俺の脳内にこびりつくんだろう。

「うん、ひとり」

そう言ってみると。

「え…と、友達に、なろうか…？」

「…は？」

…なんてバカな男だ。

なんでそうなる。

「…チャニョルは、俺と友達になりたいわけ？」

「へ！？いや、そうじゃ、ないけど…！！」

あぁ…手を差し伸べてやったつもりか。

孤独で可哀想なベッキョンくんに。

上から目線で…腹立つ。

「て、ていうか、ベッキョンはひとりじゃないだろ！」

「ん？」

「ジョンデとか、Aとか、セフンとか、ジュンミョンさんとか…よく一緒にいるじゃん…？」

「…フン」

コイツは何も分かってない。

「…人殺すのが趣味の男と、誰が仲良くしたいと思うんだよ」

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