アムネシアを枯らすな 2 (ページ10)

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59.なんで笑うんだページ10

＜ジョンイン＞

「はぁーっ…」

ジュンミョニヒョンとの電話を終えて、寝室に向かう。

「ははっ…」

セフンは大の字になって、布団を蹴り飛ばして寝ていて。

Aはそれに寄り添うように寝て…セフンと同じように、布団はズレてぐちゃぐちゃになってる。

「ったく…」

2人の掛け布団を直して…俺は、Aと同じ布団に入って、Aを後ろから抱き締めるように横になる。

すーっと、うなじに顔を埋めて息を吸う…

まだ、ヤツの匂いは染み付いていて。

…嫌悪感。

すりすりと、俺の匂いでマーキングするように顔を首筋に埋めて…あ、やばいやばい。

興奮してる場合じゃない。俺も早く起きて、Aが弁当作るところから見届けたいんだって。

めざまし時計をいつもより早めにセットして、目を閉じる。

すぐに、意識は、薄れた。

『…ねぇ、アンタ』

『アンタって…なに！？私、先輩だからね！？』

『名前…なんて言うん、でしたっけ』

『え？私はA…あなたは、ジョンイン？』

『…なんでわかるんですか』

『名札！付いてるでしょ？』

『あ…ホントだ…』

『ふふっ…』

『なんで笑うんですか』

『気付いてなかったの？名札あること！』

『…そうじゃ、なくて』

『え？』

『それ、なんですか』

『あー…えっと…転んじゃって！』

『へぇ…よく転ぶんですね』

『え…いや、あはは…あ、休憩の時間終わっちゃう！早く戻らなきゃ、バイトリーダーのジョンデ様に怒られ、』

『A～！？まったくもう…あれ、珍しいね、俺以外の男の子と話してるの、初めて見た』

『…ジョンデヒョン、嫉妬？』

『んなわけないじゃん！Aには愛しの彼氏さんがいるんだから！ねー、A！』

『う、うん！』

なんで、笑うんだ。

無理して、笑うな。

そう言いたかったけど、無理して笑ってる確証は無くて。

なんとなくの勘だったから…でも、いつも彼女はどこかに傷がある気がした。

カフェのバイト…最初のうちは、シフトが被ることはあんまり無かったけど。

その傷に気付いてから…彼女のことが気になった。

珍しくバイト終わりが一緒になったある日。

夜も遅かったし、俺とAだけが残っていて…送った方がいいのかなって思って。

『A、さん…一緒に帰ります？』

『あ…いや…』

『A～～～！！！バイトお疲れ！！！…だぁれ、その男』

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