86.ほんとのおんま ページ37
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「ぎょんす、ひょん…？どういう、こと…？」
ギョンスは、ポカンとするセフンの目を見る。
「Aちゃんが、セフンくんの本当のオンマだよ」
「ちょっ…ギョンス…！！」
どういう、つもりだろう。
セフンは、目をぱちぱちとしてギョンスを見て…ゆっくり、私の方に顔を動かす。
「A、ヌナが…僕の、ほんとの、おんま…？」
「うん。そうだよ。Aちゃんが、セフンくんを産んだんだよ」
「そう、なの、Aヌナ…？」
うるうると、涙をいっぱいに溜めたセフン。
「…そう、だよ」
そう、なんだって。
覚えてないよね。私もだよ。
「なんで、かくしてたのっ！？」
「…ごめんね」
セフンは記憶喪失で…それは、忘れたいことを忘れてるんだろうから、無理に記憶を取り戻させるのは良くないと、ジョンインと話していた。
「ヌナ…べくって人とけっこん、しないの…？」
「…しないよ。ジョンイン…セフンくんのあっぱと、結婚してるんだ」
そうなん、だって。私も、覚えてないけど…
「そう、だったの！？！？」
セフンは目を大きく開いて…嬉しそうに、にかぁ、と笑う。
「おとなは、僕にはわからないことばっかりするね！」
「ははっ、確かに、そうだね、セフンくん」
ギョンスはセフンを見て笑う…あなたもよ。
「ヌナが、僕のおんま…Aヌナが…っ！！」
ギョンスはさりげなくセフンから腕を離して…セフンはそれに気付いて、私の方に飛びついてくる。
「わっ…！！」
「おんま！！！ずっと、ほしかった！！！僕の、おんま！！！」
「セフン…」
純粋に、嬉しそうに笑ってる…嫌なことは、思い出してないみたい。
「ヌナ…じゃなくて、おんま…いや、なの…？」
「え…？」
「泣いてる、から…」
セフンは小さな手で、私の頬を拭う。
「あ…このまえ、言ってたよね、おんま…うれしいときにも、なみだがでるんだよって…そっち…？」
「…うん。そうだよ。セフンくんは、学習能力が高いね」
「がくしゅうのうりょく…それがたかいって、いいこと…？」
「うん、いいことだよ！誰に似たのかな〜私かな〜？」
私はセフンのおでこに自分のをくっつける。
「ははっ…そうだな。ジョンインはいつまで経っても俺に頼るの渋るし、ジョンインには似てないな！」
ギョンスはそう言って笑う…
「…俺、ディスられてます？」
不機嫌そうな男の声が、後ろから聞こえた。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年9月8日 22時
