84.料理の師匠 ページ35
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ずっと、ベッキョンのことを考えてしまって。
やっぱり、1人は嫌だな…なんて、思いながら。
また、考えないために、晩ご飯を作っていた。
…2人ともお昼ご飯、どうしたんだろう…。
お弁当、作ってあげたかったな…明日は、作ってあげよう。
カチャッ、ガチャ
玄関から、鍵とドアの開く音がして…セフンとジョンインが、帰ってきたんだろう。
手をタオルで拭いて火を止めて、玄関に向かう…と。
「セフンくん、ちゃんと靴揃えないと…」
「あ、ごめんなたい…これでいい？」
「うん。すぐできて偉いな」
「えへへ〜僕、ぎょんすひょんみたいになりたいんだぁ！！」
ジョンインの声じゃ、ない…
ギョンス、ヒョン…って、誰…？
恐る恐る、玄関を覗く。
「あ、Aヌナ！！ただいまぁ！！」
私の顔を見て、ぱあっと明るい顔になったセフンくんは、私の足に抱き付いてくる。
「おかえり、セフンくん」
とりあえず、元気そうで安心して…チラリと、戸惑いがちに男の人を見る。
その男の人は、セフンを見て…穏やかに笑っていた。
…初めて見た、この人…ジョンインの、知り合い…？
私が見ていると…視線を感じたのか、男の人と目が合った。
「あ…どうも。はじめまして、なんだよね…。どうも、ドギョンスです。ジョンインの会社の先輩で…今日、ジョンインは仕事が遅くなりそうだから、セフンくんの迎えを頼まれて」
「そう、だったんですか…ギョンス、さん…」
「うん…あぁ、覚えてないかもしれないけど、Aちゃんとは何回か会ったことがあるよ。同い年だから、敬語じゃなくて大丈夫だし…Aちゃん、俺のこと、呼び捨てだったよ」
「そ、そうなの…？」
会社の後輩の奥さんに会ったことあるなんて…ギョンスとジョンインって、仲良いんだろうな。
「ぎょんすひょんね、りょうりとってもじょうずなんだよ！！Aヌナと同じくらい！！」
「そ、そうなんだ…」
「何回か、Aちゃんに料理教えたことあるんだ。俺、Aちゃんの料理の師匠なんだよ」
「へぇ…」
「美味しそうな匂いするね。晩ご飯、作ってたの？」
「あ…うん」
「ぎょんすひょんも食べて行ってよ！ヌナのりょうり、おいしいんだよ！！」
「え、でも…」
「いいよね、ヌナ！！」
「うん、もちろん！どうぞ、上がってください」
「あー…じゃあ、お邪魔しようかな」
ギョンスは、あはは、と口をハート型にして笑った。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年9月8日 22時
