アムネシアを枯らすな 2 (ページ33)

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82.本当に酷い人？ページ33

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バタン！バタン！と、忙しそうな音が収まって。

シン…と、部屋が静まり返る。

…ジョンインとセフンは、出て行ったのだろうか。

しばらくそこにいろ、と言われて…

頭が、混乱したまま。

セフン、泣いてた…どうして…

ベクって誰、って、言ってた…？

私、寝言でその名前出して、セフンが、思い出しちゃった、とか…！？

「はぁ…」

とんでもないことをしてしまった気がして、頭を抱える。

私が、セフンを泣かせた…？

ジョンイン、怒鳴るような声出してて…

…ダメだ。

色々考えても、解決するわけじゃないのに。

立ち上がって、寝室のドアをゆっくり開ける…

誰も、いない。

リビングに出て…色々散らかされてる。

急いだんだろうな…。

服を畳んで、揃えて置く。

机の上も、すごいな…。

封筒がバサバサと置いてある。

…ん、なんだろう、これ。

宛名も差出人もない、まっさらな封筒…結構厚みがある。

「重っ…」

持ってみると、ずっしりとして…何が入ってるんだろう。

他の手紙と一緒にあるってことは、ポストに入ってたのかな…え、でも宛名ないってことは、直接入れたってこと…

…ベッキョン、か。

封筒は…開けた様子がない。

…中身、見てみたい。

怒られるかな、ジョンインに…

そう思いつつも、好奇心が勝って。

こっそりのり付けされた部分を剥いで、中を、見る。

「…え…」

中には…大量の1万円札と、それに挟まれた、スマホ…

私の…？

試しに、暗証番号…0506と、入れてみる。

…起動した。

やっぱり、私のだ。

ベッキョン…返して、くれたってこと…？

連絡先を開く…

「え、戻ってる…」

消されたはずの連絡先は、復活していた。

…どういう、ことだろう。

ベッキョンが、戻してくれた…？

どうして？

なんのために？

…分からない。

朝から、混乱してばっかだ。

ぎゅっとスマホを握る。

ふと、封筒に目が止まって…

お札、何枚あるんだろう…どうして、お金…

『売り飛ばして、セフンの養育費にすればいいよ』

セフンの、ため…？

『俺たち、学生結婚だからさ…しかもデキ婚ってやつで…お金無くて』

いや、私の…私たち家族のためなんじゃ…

「やめてよ、ベク…」

あなたは、酷い人、なんでしょ…？

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