79.怒って泣かせて ページ30
＜ジョンイン＞
「あっぱ！！起きてくだたい！朝でとぅよー！！」
「ん…おはよ、セフナ…」
いつものように、目覚ましかけてたのに無意識に止めててセフンに起こされる。
「ふわぁ…あ、A…」
Aは、俺の腕の中ですやすやと寝ていた。
「ヌナ、しあわせそうにねてるから…きょうはおべんとう、がまんしまとぅ…」
「…そう、だな」
Aの顔は、穏やかで、口角が上がっていた。
どんな、幸せな夢を見てるんだろう。
そこに、俺やセフンが居たらいいな…
と、思っていながら、ぼーっと眺めていると。
次第に、Aの顔が歪む。
「あっぱ、おくれちゃうよー？」
いつの間にか着替えを済ませたセフンがトタトタとやって来る…
「どうして、束縛なんてしたの」
Aはポツリと、目を閉じたままそう言った。
「え…？」
束縛…まさか、ベッキョンの、夢を…！？
「そくばくって、なんでとぅか？」
「せ、セフン、いいから、鞄持って、あっちに、」
「どうして、連絡先消したの。どうして、外に出させてくれなかったの。どうして…セフンくんに、ひどいこと、したの…」
Aの頬に、つうっと涙が伝う。
「僕に、ひどいこと…？」
ポカンとする、セフン…まずい。
「A！！大丈夫か！？」
焦って、Aを揺する。
「んっ…あれ、じょんいん…？」
ぼんやりと目を開いて、焦点の合わない目で俺を見るA。
そして、きょろきょろと見回して。
「べく、は…？」
…やっぱり、ベッキョンの夢、見てたのかよ…
まだ、寝ぼけている様子のA。
「A、何言ってんだ。起きろ。ご飯、作ってくれないか」
「べくが…消えちゃった…」
「…A、起きろって」
「まだ、聞けて、ない、のに…」
「A！！！」
ビクッと体を震わせて、目を大きく開くA。
「ジョンイン…」
はっきりと俺の名を呼んだ。
「あ、あっぱ…なんで、おこってるの…っ？」
「せ、セフン…ごめん…」
振り返ると、今にも泣き出しそうなセフン…
「うっ、べくって、だれぇっ…なんかっ…こわいよぉっ…！！」
「セフナ…！！」
急いでセフンを抱き締める。
「セフン、くん…？」
Aは上半身を起こして、びっくりするようにこっちを見る。
「…A、しばらく、そこにいろ。セフナ、大丈夫だからな」
俺はセフンを抱き上げて、寝室を出た。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年9月8日 22時
