アムネシアを枯らすな 2 (ページ14)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:83,329 hit

63.100万円のペアリングページ14

.

…さて。

2人を見送って、朝ごはんのお皿を洗う。

2人とも…喜んでくれて、良かったな。

2人の顔を思い出すと…自然に、口元が綻んで。

幸せな気持ちになれる。

家族…私の夫と、息子…

あんまりまだ実感はないけど…

でも、大丈夫。

セフンのオンマに、なる…いや、オンマなんだ、私は。

　ピンポーン

　ピンポーンピンポーンピンポーン

…今日は、早いな。

　ドンドンドン！！

「A！！！どうしても、見てほしいものがあるんだ！！！お願い！！！チェーン掛けててもいいからっ…ドア、開けて！！！」

『絶対に絶対に、出ないこと。いいね？』

…ごめん、ジョンイン。

ちゃんと、オンマになるために…カタ、つけなきゃいけないから。

　カチャッ…ガチャ

「Aっ…！！！」

チェーンを見ても、相変わらず私を見て嬉しそうな顔のベッキョン。

「…ベッキョン、あのね、」

「A！！！これ…見て！！！」

私の言葉を遮ってベッキョンが見せてきたのは…指輪。

「もっと早くに、渡せばよかった…俺、ずっとずっと、Aと結婚したくてね…ずっとずっと前に買って…ほら、一緒にさ、見たじゃん！！！」

『…ねぇベク、なに調べるの？』

『んー？まぁまぁ！！』

『…指輪？』

『うん！妄想だよ～結・婚・指・輪！』

『妄想…？』

『作曲家にはさ～想像力がいるからさ～…ねぇ、Aはどれかいい？』

『そんな…気が早いよ、ベク…』

『…だから、妄想だってば！！ほらほら、どれがいいの？いくらでもいいよ！値段なんて気にしないで！妄想なんだから！』

『え～…？うーん…』

『…言わなくても分かるよ。これでしょ！』

『え…なんでわかったの…？』

『んー、Aが見てたから』

『…で、でも、50万…』

『2人で100万円！！いいね、最高！！！』

『ベク…あのね、値段じゃないんだよ。大事なのは、気持ちなの…』

『うん！値段じゃなくて、気持ち、でしょ？気持ちがあれば、いくらでもいいんでしょ？じゃあ高くても関係ないよ！Aが欲しいものをあげたいの！』

『…私、この隣のやつ見てたん、』

『もー！！俺に嘘はつけないからね！！俺いっぱい稼いでんの！！それに、妄想だって言ったでしょ？遠慮しないの！！』

「ベ、ク…」

ベッキョンの見せてきたそれは…その時言っていた、100万円のペアリングだった。

.