ユウガオは夜に咲く 3 (ページ35)

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132.彼女の家ページ35

＜カイ＞

俺はバーを出て…

出て…

行き場…どうしよう。

俺には、帰る家がない。

今は女を抱く元気もないし。

1人でホテルにでも泊まるかな…

そう思いながら車の鍵を取り出す…と。

一緒に出てきた、Aの家の、鍵…

それを、見つめる。

Aは掃除を始めとする家事が苦手で。

放っておいたらゴミ屋敷になるから、たまに家に勝手に入って掃除したりしている。

…といっても、Aは3日に一回くらいしか帰らないけど。

そろそろ片付けしないといけない頃かな。

どうせ誰も使ってないし、ついでにそこで寝よう。

車を走らせ、Aの家に向かった。

　ガチャ

久しぶりに来る…はずなのに、まるでつい最近来たような感覚。

結構きれいだし…掃除、必要ないかも。

洗濯物は…あ。

洗濯機の中…入れたままじゃん…何やってんだよ。

一度開けてちゃんと見る…濡れてる。

最近帰ってきて洗濯機回すだけ回して…干すの忘れてたのか？

まったく…世話が焼ける。

もう一度洗剤を入れて、洗濯機のスイッチを押す。

静かに、洗濯機は動き始める。

…あれ。この光景、最近…

いや。気のせいだ。

リビングに移動する。

…ん、なに、この袋。

縛られた透明な袋の中に、白い布のようなものが入っていて。

解いて中を見ると…ビリビリに破かれた、白いワンピース。

ベッキョニヒョンが、破ったんだろうけど。

ちゃんと、ビニール袋の中に入れて縛っておくなんて…Aが、そんな手間なことするか…？

自分でやったのか、はたまた…

自分でやったのなら…独り立ち、しようとしているのか…？

誰かにやってもらったんなら…まるで、俺以外のヤツがいるから、

『カイ。君は、必要ないよ』

…そんな、ことは、

『Aに、君は、必要ないよ』

落ち着け。幻聴だ。耳を貸すな。

疲れてるだけだ。

寝室に行く。

ベッドは、ぐちゃっとしていて。

最近ここで寝たのかな、A…

ふと、ゴミ箱の中が見える。

…大量の、ティッシュ…

違う。

そういうことじゃない、きっと。

Aは、知らない男を自分の家に上げて自分のベッドで抱かせるなんて…ない。

違う。変な妄想をするな。

ベッドに上り、うつ伏せになる。

『僕は、Aを、愛してるよ』

…俺は…

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