ユウガオは夜に咲く 3 (ページ18)

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117.親友から見た彼女ページ18

＜ギョンス＞

今日は…目の前の景色が、すっきりしている。

チャニョルと、Aさんがいない。

チャニョルは…しばらく呆然と椅子に座っていて。

仕事をできる状態ではなく、ミンソクさんがどうにか帰らせた。

Aさんは遅刻らしいけど…。

まだ来ないな。そろそろ昼休憩の時間なのに。

と、思っていると。

「おはようございます」

Aさんがやって来て、スッと席に座った。

もう、おはようという時間ではないはず…

パッと時計を見ると。

♪～

ちょうど昼休憩の合図が流れて…

みんな、ゾロゾロと動き出す。

いつもより、みんな動きが遅い。

チャニョルがいないだけで…こんなに雰囲気が違うんだなと、実感する。

俺も…食堂に行こう。

久しぶりに、1人だ。

立ち上がる…と。

「あの…ド、ギ…」

ふと右を見ると、Aさんが、立っていた。

「Aさん…？」

Aさんに話しかけられるのなんて…ほとんど初めてに近い。

周りもピタッと動きを止めて、俺たちに注目している。

「ドギョンス…さん」

「…は、はい」

どうしたんだろう、急に、俺に用なんて…

まさか、チャニョルのことだろうか。

「あの…とりあえず、食堂行かない？」

　スルスル…

目の前には、眼鏡を曇らせながら蕎麦を食べるAさん。

俺はというと、全く定食に箸をつけられずにいた。

…一対一は初めてだから、緊張する。

「あの…さ…なんで、俺を食堂に誘ったの…？」

そう聞くと、Aさんはやっと顔を上げて俺を見た。

「あ…」

Aさんは曇ったメガネをスーツで拭き、かけ直す。

…スーツで拭いたぞ、Aさん。

「あの…チャニョルの電話番号、教えてほしくて…」

「え…？」

Aさんは俯きがちに言った。

いつもの、はきはきスラスラ話すAさんは、どこへやら。

「あと、住所とか…好きなこととか…」

もじもじと、言う…少し、可愛いところもあるの、か…？

「えっと…」

電話番号、か…電話、したいのかな。

意外と…チャニョル、脈アリかもしれないぞ。

俺はスマホを取り出して、連絡先からチャニョルを探す。

「これが電話番号で、これが住所」

「あ、ありがと…」

Aさんは必死に自分のスマホにそれを打ち込む。

…仕事でも、こんな必死な姿見るの、初めてだ。

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