ユウガオは夜に咲く 7 (ページ16)

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313.詳しく教えてページ16

＜チャニョル＞

「うーん…」

「いや、でも…」

「…だあぁぁぁぁぁ！！！！！」

…もう1人残らず帰ったオフィスで、さっきから、ずっとこの調子。

生前、イーシンさんからもらったボールペンの中に入っていた紙と、睨めっこ状態。

…と、いうのも。

遡ること…今は夜の9時だから、6時間前…。

オフィスの休憩室で話していた女の社員さんたちが、イーシンさんについて気になる話をし始めて、声をかけたところまで、遡る。

『あの会社に勤めてる友達から聞いたんだけど…イーシンさん、生前違和感があったんだって。ずっと忙しそうにしてて…あの会社、不正だとか色々黒い噂があるから…それを世間に暴こうとしてたんじゃないか、とか…それで消された、とか…』

『何それ、怖っ！』

『消されたって…そんなこと、本当にあるの？』

『ちょっと、それ、詳しく教えてもらっていいかな！？』

『え…ち、チャニョルさん！？！？』

まさか俺が盗み聞きしてたと思っていなかったであろう女性たちはびっくりする…そりゃ、そうなんだけど。

それどころではなくて。

ボールペンの中に入っていた紙…

『チャニョルへ。よろしく。チャンイーシン』

そのメッセージと共にあった、謎のURLとメアド。

それを今朝見つけたっていうのもあって、何か有力な情報が聞けるんじゃないかと思い、声をかけた。

『あー…たまたま、聞こえちゃって…ごめんね？』

『い、いえ、大丈夫です！…で、詳しく、というのは…？』

『チャンイーシンさんの、ことについて…』

『あ…生前仲良くされてましたもんね…』

『うん、まぁ…消されたって、何？』

『い、いえいえ！あくまで噂ですよ？あ…人が亡くなってるのに、こんな噂、良くないと思うんですけど…』

『うん、まぁね…。でも、噂程度でもいいから、教えてほしい』

イーシンさんがわざわざボールペンを俺に渡したんだ。

何か…理由があるかもしれないし…

それはまるで…自分が殺されるのを、予期していたよう、だから…。

余計、その噂話に信憑性が増す。

『えぇっと…取引先なんであまり大きな声では言えないんですけど…あの会社、ブラック企業だって噂、あるじゃないですか…』

『うん、まぁ…』

それは、なんとなく聞いたことがある…でも、取引相手だったイーシンさんが良い人だったから、実感無かったけど。

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