310.ライバルは ページ13
＜カイ＞
「んーおいし。ありがとね、ベク」
「えへへ、良かった！」
Aはよしよし、とベッキョニヒョンを撫でる。
…いつもそうやってヒョンのご機嫌取りしててよ。
まぁ…Aの好きなようにやれば、いいと、思うけどね。
「セフナがね、Aはヤンニョムが好きだって言ってたから、多めに買ってきたんだよ！」
「そう…よく覚えてるねセフナ…」
当の本人、まだ来ないけど。
まぁ、セフンはずーっと…子どもの頃から、Aに報われない恋をし続けてるわけで…Aっていうか、”セフンの好きなヌナ”に。
どんな感じだったのかな、昔のA。
チラッと、Aのことを見る。
Aは、ヤンニョムチキンを美味しそうに食べていた。かわいい。
…じゃ、なくて。
「…カイは、食べないの？」
「俺は…」
チラッと、ヒョンの様子を伺う…案の定、睨んでる。
「俺が買ってきたんだぞ、キムジョンイン」
「…ゴチになります」
「いや、何食べようとしてんだよ…俺は！Aに買ってきたの！！」
「こーら、ベク。こんなにあるんだからいいでしょ」
Aがそう諭すと、明らかにしゅんとするベッキョニヒョン。
感情が忙しい人だな。
「食べさせてあげてよ。ね？」
Aがベッキョニヒョンに微笑むと、ヒョンはむくれた顔で袋をこちらに向けてきた。
「…Aの可愛さに免じてちょっとだけ許してやる」
「ありがと、ヒョン」
チキンを取り出し、食べる…うん、美味しい。
「ねぇ、ベク。この…ハニーバター？も、美味しいよ。食べてごらん」
「…Aが食べさせて」
「はいはい、あーん」
「ん、美味しい！Aにも食べさせてあげる！あーん！」
「ん…美味しい」
Aはそう言ってベッキョニヒョンに微笑む…
ご、ご機嫌取りだ、これは、ただの。
大丈夫、だって昨日、A、キスさせようとしてくれたし…ヒョンに邪魔されたけど。
…あぁ、やっぱりベッキョニヒョンが邪魔だ…。
そんな俺の悩みなど、つゆ知らず。
Aは美味しそうにチキンを食べている。
…ま、いっか。ライバルはベッキョニヒョン1人。
ベッキョニヒョン1人なら…
と。
ガチャ、ピーピー…
扉が開いて、入ってきたのは。
「ヤー、セフナ！遅かったじゃん！」
セフンは、入ってきた、かと思いきや、その場で立ち止まっている。
「ヌナが…チキン…食べてる…」
.
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月17日 23時
