502.対峙 ページ6
＜チャニョル＞
なんで…
なんで、助けてくれないんだよ！！！！！
思いっきり”助けて”って目線を送ったはずなのに…！！！
『悪い話じゃないと思う。君は、好きな人を悪い男から離すことができる。僕も、犯罪者と知っていながら知らぬふりをしていたという罪悪感から解放される。どうだい？』
ジュンミョンさんは、そう言って俺にこのファイルを託してきた。
カイとベッキョンが…2人でやってきたらしい、悪事について…。
でも、本当に目の前の男は、悪い男、なのか…。
それが知りたくて、この場を設けてもらったのだ。
久しぶりに会った彼は、ひどくやつれているように見れた。
…どうして。
全てを捨てて、愛する人と2人きりになれたんじゃなかったのか。
「…何の話」
カイはそう言いながら、俺の座るボックス席ではなく、カウンターの椅子に座った。
「その…」
どこから話そうか。とりあえず…
「Aは、元気…？」
それがまずは気になっていた。
こんな元気な無い男と一緒にいると…Aも、
「Aの名前を口にするな」
「あ…ごめん…」
そうだ、カイはそうやってAの話をすると怒るんだった…でも、いつもより圧が無い。元気がないからってだけ？
と、思っていると。
「…って、言いたいけど…」
そう言いながら、カイはテーブルの上で組んだ腕に顔を埋めた。
「言いたい、けど…？」
俺がそう聞くと、カイは少し黙った後、顔をゆっくり上げた。
「…Aに、言われたんだ。捨てなくてもいいものまで、捨ててるって…」
「捨てなくて、いいもの…」
「俺は不器用だからって。なんなんだろう…何を、捨てちゃダメだったんだろう…」
半分泣きそうになりながらそう言うカイに、今のAは幸せじゃないことを確信する。
そして、ぎゅっと、ジュンミョンさんからもらったファイルを握った。
「…カイ、君に、伝えなくちゃいけないことがある」
「…何」
「この、俺との話が終わったら…君は、警察行きになる」
「え…？」
俺は、カイにファイルを渡した。
「…なにこれ」
「君が、ベッキョンとしてきた悪事について、纏められたものだよ」
「俺が…ベッキョニヒョンと…？」
その反応的に…うん、やっぱり。
「でも、正直俺は、信じてない。だから、今、ちゃんと話してほしいんだ」
本当にこれは、ベッキョンとカイだけがやったものなのか…？
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作者名：LUKE | 作成日時：2021年12月22日 5時
