524.家宅捜索 ページ28
＜チャニョル＞
混乱する社員たちを代表し、1人ミンソクさんと社長室に入って話をしたが。
「何も分からない。急に昨日の夕方連絡が来て、”明日から君に社長を任せる。全部この前引き継いだ通りだ”って言われて」
そう言いながらパソコンを開き書類をバサっと広げ電話の位置を確認するミンソクさん。
昨日の夕方…Aが出頭した頃…それに。
「この前引き継いだ…？」
「少し前に急にジュンミョンに呼び出されたことがあったろ。その時」
『は、はい！…あ、ミンソクさん、この資料のチェックお願いします』
『あぁ…すまない、ジュンミョンに呼ばれててね。後でもいいかな』
あれは確か、ベッキョンが自首する前のこと…そんなに前からジュンミョンさんはこの日に備えて…？
「…え、で、俺が、部長、ですか…？」
そして先ほどの場面に戻る。
「突然社長が失踪なんて…まともに会社が機能する訳がない」
「そうだよな…」
「少なくとも今日は対応に追われる1日になりそうだな」
『うん、分かってる。私は私の幸せのために生きるわ。悪いわね』
『…俺たちもそうするから、心配するな』
ジュンミョンさんのあの言葉は、そういうことだったのか…。
と。
また辺りが一層騒がしくなる。
バタバタと大勢の足音…
「ちょっとすいませんね…って、あ」
聞き覚えのある声に振り返ると。
「テミン…」
「どうも。大変そうですね。まぁこっちもなんですけど」
「警察が、何しに…？」
「もちろん、仕事をしに。キムジュンミョン氏はこの中ですか？」
テミンを筆頭に、スーツを着た刑事らしき男たちが社長室の前に並んで立つ。
「いや…いないよ、ここには」
「そう…まぁ、そうだろうけど。一応家宅捜索するので、失礼します」
そう言うと、テミンは他の刑事に指示を出して、刑事たちは社長室に入ったり他の部署へと手分けをして散らばった。
「家宅捜索…！？なんのことですか！？」
何も知らないギョンスがテミンに聞く。
「はぁ…いやぁ、昨日から大変なんですよ。ここの社長がフィクサー…まぁ黒い裏家業をしてるって供述があって」
「供述…？誰の？」
「…A、だろ」
俺がそう言うと、テミンはにっこり微笑んだ。
「やっぱり、何か知ってますね、パクチャニョルさん」
「…いや、何も知らないよ、俺は。知らなかったよ…彼らのことは、何も」
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作者名：LUKE | 作成日時：2021年12月22日 5時
