149.憎らしい笑顔 ページ48
＜ジョンイン＞
帰りの車内。
「ヌナ、楽しかった？」
「うん！もちろん！」
ヌナは嬉しそうに笑う。
「そっか…よかったね」
「ジョンイナ、ありがとね、セフナのこと」
「ううん、セフンは素直だからね。騙しやすいんだ」
ヌナと買い物行ってくる、と言った時、セフンは目を細めたが、早く帰ってこい、とだけしか言わなかった。
セフンは周りの人間の情報を集めることを嫌う。
変に詮索はしないだろう。
「またチャニョルさんとデートしたくなったら言って」
「協力、してくれるのね、ジョンイナ。あなたは本当にいい子」
ヌナが俺の頭を撫でる。
「…運転中だよ」
そう言いつつ、内心はもちろん嬉しい。
ヤツとデートするのは気に食わないけど…
『…ありがとう、ジョンイナ。あなたは私のことが大好きね』
『…Aの、嘘つき』
ヌナ、本当は知ってるでしょ。
大好き、なんてもんじゃないよ。愛してるんだ。
だから、幸せになってほしい。
…俺が、幸せにできれば1番いいんだけどね、本当は。
「ヌナ、チャニョルさんの本職は警察だよ。でも、ヌナを怪しんで近づいてるとかじゃない。彼は今色々あって謹慎処分受けてるから、それがバレたくなかっだけだよ。純粋にヌナのことは好き。納得してくれた？」
そう説明してみると。
「…うん。チャニョルが私のことを好きなのは伝わってくるから…大丈夫よ」
…久しぶりに、ヌナの笑顔が憎いと思った。
「ただいま」
家に帰ると、すぐにセフンが走って玄関にやってくる。
「遅い。どこ行ってたんだよ」
「買い物って言ったでしょ」
「ふぅん…」
セフンは不機嫌な顔をしながら、俺の持つ大量の紙袋を見る。
「あ、セフナ、ただいま。これ、セフナにおみやげよ」
ヌナがそう言って、１つの紙袋を渡すと、みるみる内に上機嫌な顔になる…分かりやす。
ヌナもそれが分かってるからお土産を買ってきたんだろう。
「セフナが好きそうだなって思って」
ヌナがそう付け加えると、セフンの口角はキュッと上がった。
「…ありがと、A」
そう言って、大切そうに紙袋を抱きしめる…こういうところ、素直でかわいいんだよな。
「ふぅ…ヌナの荷物持ち疲れたよ。ちょっと部屋で仮眠するね」
俺はそう言って自室に入る。
そしてすぐに電話をかけた。
「もしもし、チャニョルさん」
『ジョンインくん。あー…報告、だよね』
「はい。どんな感じだったか、教えてください」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 99人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月14日 10時
