薔薇を刺す 3 (ページ43)

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144.一途な人ページ43

＜チャニョル＞

家の前に着くと、玄関のドアの前にはAと…ジョンインが立っていた。

ジョンインはいつもと違う、綺麗な格好をしている…まさか、お前も一緒に来るとかじゃないよな…！？

なんて思っていると、Aが走って俺の車に近寄ってくる。その後ろからジョンインがゆっくり歩いてきた。

俺は車を降りる。

「チャニョル！車運転できるんだね！」

「う、うん、そうだけど…ジョンインくんは…？」

「ヌナ、早く車乗って」

俺を無視し、Aを車に乗らせるジョンイン。

「う、うん」

Aが助手席に乗ったのを確認すると、ジョンインは俺の顔を見た。

「俺は、ヌナが望むことをしてあげたい。ヌナはチャニョルと会うことを望んでいます。それは許しましょう。…でも、もしあなたがヌナを傷つけるのなら、すぐに引き剥がします」

そう、真顔で。

「き…傷つけることなんて絶対にしないよ、大丈夫」

「ギョンスヒョンも…ヌナを絶対に幸せにする、と僕に言いました。絶対、なんかないんです」

「…」

「…それを、言いに来ただけです。セフンは俺とヌナが2人で出かけると思っています。だから邪魔をしてこないでしょう。ヌナを、楽しませてあげてください。じゃあ」

「えっ…」

ジョンインくんは、そのまま家には帰らずどこかに行ってしまった。

俺が呆気にとられていると、トントン、と車の中からAが窓を叩いてこちらを見ていた。

「あ、ご、ごめん…」

俺は急いで車に乗り込む。

「ジョンイナと、なんの話してたの？」

「ん？い、いや、なんでもないよ」

「ふーん…」

Aはそれ以上深掘りする気も無いらしい。

「どこ、行こっか！」

「んーっとね、この近くにおっきいショッピングモールあるでしょ？あそこ行きたいの！」

「ショッピングモール、かぁ…」

「うん。子どもの頃行ったっきりで…久しぶりに行きたいなって…ごめん、味気なかった？」

「ううん、全然！そっか、子どもの時以来行ってないのか…」

俺は車のエンジンをかける。

「うん。…よくさ、高校生の時、同じクラスのカップルたちは学校帰りに行ったりしてたの…ちょっと、羨ましくて」

えへへ、と笑うA。

「ふーん…Aは高校時代、彼氏とショッピング行かなかったの？」

「わ、わたし…大学になってギョンスと付き合ったのが初めてだから…」

…やっぱり、Aは、純粋で一途な人なんだ。

…かわいいな。