135.男好きの殺人鬼 ページ34
＜セフン＞
…クソ。
ヤツは余裕そうな笑みを浮かべながら去っていった。
「セフナ、帰ろ」
Aはそう言って、俺の腕を掴んできた。
俺はその手を振り解き、逆にAの手首を掴んで歩きだす。
「ちょっ、セフナ！」
Aを連れ込んだのは、ラブホテル。
部屋のドアを閉じた瞬間。
「ちょっ、セフナっ…」
Aの首元に噛みつく。
「やめて、セフナ！」
…聞こえねぇよ。
Aを壁に押しつけ、脚の間に膝を入れて逃げられなくし、首に紅いしるしをつけていく。
「いたい…セフナっ…！」
Aにこれでもか、という力で押され、しぶしぶ離れる。
「なに」
「なにって…何よ、こんなところ…帰るよ」
「やだ」
「やだじゃな…っ！」
俺はAの手を引っ張り、ベッドに投げつける。
「いたっ…！」
そして覆いかぶさり、両手を押さえつける。
Aは…必要以上に抵抗しない。
しても男の力に勝てないことを分かっているからだ。
無駄なことはしない、合理主義…でも、どうしてそんなAが、恋愛なんて無駄なことをしようとしているの。
「…A」
「なに」
「俺を、見捨てないで」
「見捨てないよ…どうしてそうなるの」
「どうしてヤツと…」
俺はまた、Aの首元に顔を埋める。
「A…忘れてない？」
「なにを？」
「あんたは男好きの殺人鬼」
…ごめんね、A。
そんなの、忘れてたでしょ…ヤツに出会ってから。
でも、徹底的に折る。
Aへの、ヤツの気持ちを、へし折ってやる。
自信を無くせばいい。
Aはいつも余裕そうに笑ってくる。
俺が、Aの心をかき乱す番だ。
かき乱して…俺しか、考えられなくして…。
「セフナ…」
「あんたは悪い人。旦那がいるのに他の男に抱かれて、平気で人を殺す、悪い人」
「…っ…」
「思い出して、A」
俺はそう囁いて、Aの耳を舐める。
「んっ…でもっ…」
「でもじゃない。それに、何、自分だけ幸せになろうとしてんの？許さないから」
「ん…セフナ…」
「俺の名前呼んで機嫌取ろうとしてもだめだって、前言ったよね」
少しずつ、Aの着ていたワンピースを脱がせる。
「あんたは、幸せになってなっちゃいけない人間なの、俺と同じ」
「…」
Aは、辛そうな顔をしている。
…そんな顔、させたいわけじゃない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 99人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月14日 10時
