134.勝利と不安 ページ33
＜チャニョル＞
さすが、セフンの情報網はすごい。
「お前はどんだけ俺たちの邪魔をしたら気が済むんだ。消えろ」
消えろ、か…。
悪い、それはできないよ。
「セフン、今Aの嫌がることをしているのはどっち」
「…」
セフンは、ただ俺を睨みつける。
「A、どうしたい？」
…ごめん、でも、君の口からじゃないと、セフンは納得しないんだ。
「わたしは…チャニョルと、一緒に、いたい…」
Aがそう言うと、セフンは目を開き…怒るではなく、悲しそうな顔をした。
「A…Aは、俺を見捨てないって言った」
「セフナを見捨てるわけじゃない」
「…ここでコイツを選んだら、俺を見捨てることになる」
「どうして？あと、コイツじゃない、チャニョル」
Aはセフンを叱る。いつもの、大人っぽくて冷静なAだ。
「…A、また今度にしよう。今日はセフンと一緒に帰って」
「えっ、でも…」
「また会おう。今日のところは、俺はこれで。じゃあね」
Aに笑顔で手を振って、その場を去る。
Aは追ってこなかった。
…よし。完璧だ！
俺は、セフンに対して勝った、という気持ちが強かった。
…Aとバイバイしたのは辛いけど…。
また、会えばいい。
Aの方から会ってくれる自信があった。
「もしもし、ジュンミョンさん」
『おぉ、チャニョル！うまくいったか？』
「ジュンミョンさん…」
『…ん、まさか…失敗…？』
「大成功です！！」
『なんだよ！惑わせるなよ…そうか、良かった』
「ジュンミョンさんも、うまくセフンを留めておいてくれたみたいで、ありがとうございます。…まぁ最後は、セフンに邪魔されちゃったんですけど」
『え、セフンに、邪魔？』
「はい。どこから情報が漏れたのか…セフンが、Aを迎えに来ました」
『…そうか。やっぱりセフンの情報網は強いな…。チャニョル、なるべく俺とは会わないようにしよう。できるだけ電話で。ミンソクはさらに気をつけろ。あくまで、他人のフリだ』
「…分かりました。気をつけます」
『うん、よろしく頼むよ。じゃあね』
「はい、失礼します」
ジュンミョンさんの声も、明るかった。
良かった。とりあえず今日のところは上出来。
問題は、セフンに俺とAが会っていたことがバレたこと。
これから会うのが難しくなる…。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月14日 10時
