薔薇を刺す 3 (ページ32)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:42,945 hit

133.知りたくない情報ページ32

＜セフン＞

「ただいま」

家に帰って玄関で靴を脱ぎながらそう言っても、誰からも返事はない。

真っ先にAの部屋に向かう。

ノックもせずにドアを開ける。

「Aー」

ベッドを見る…いない。

リビングか？

そう思いリビングに向かう、が、いない。

「Aー！」

風呂場、キッチン、俺の部屋、ジョンインの部屋。

全て探したが、いなかった。

ついでにジョンインもいない。

「…また1人でこっそり出かけやがった」

昼間っから…どの男だよ。ムカつく。

じゃあ自分で調べればいいじゃん。

…あぁ、そうだよ。でも…なんとなく、嫌なんだ。

AのスマホにはGPSを起動させてるからどこにいるかすぐに分かるし、Aと繋がってる男なんて知れてるけど。

…なんとなく、Aのことを探るのは…怖い、気もする。

男遊びが嫌で、それが誰かも調べられるんなら、調べてソイツを殺せばいい。

…そんなことしてたら、地球上の男全員死ぬぞ。

「はぁーっ…」

とりあえず疲れた。仮眠しよう…。

どれだけ寝たか。目が覚めて外を見ると、暗くなっていた。

「ふあぁ…」

あくびをしてスマホを見る、と。

情報提供者からのメールの中に…嫌な文字。

「パク、チャニョル…」

寝起き最悪。

これでしょうもない情報ならもう謝礼金払わないぞ、と思って、見てみると。

情報提供者は…居酒屋の店員。

「高そうな身なりの女性と個室で密会…」

…嫌な予感がする。

昨日、ジョンインが、チャニョルのヤツがうちに来た、と言っていた。

それに、ジュンミョンさんのあの感じ…何か企んでる。

メールに返信する。Aの顔写真をつけて、この人？って。

すぐに返信が来る。

そうです、か…。

　ガンッ！

…やば、大事な商売道具なのに。

ベッドにスマホ叩きつけちゃった。ベッドでよかった。

「居酒屋、なんて行くなよ」

居酒屋、なんてAには似合わない。

「Aと…ビールジョッキ…」

…いや、似合わねぇ。

ちょっと見てみたいけど。

…なんて、考えている暇はない。

AのスマホのGPSを辿り、現在地を把握する。

結構遠くまで…どうしてだ。

Aにとってチャニョルは、昨日あったばかりの男のはずなのに…！

俺はすぐにその居酒屋に向かった。

.