132.苦手な部類の人間 ページ31
＜セフン＞
「…ジュンミョンさん、話長いんですけど。あとどんくらい続くの」
「ん？まだあるよ、山ほど」
ジュンミョンさんが急に呼び出してきたかと思ったら…今までの事件の捜査資料をドサッと持ってきて、急に情報提供が始まった。
…いや、嬉しいけどさ。
「何で、急に」
「今のうちだよ。俺、捜査一課外されるからさ」
事実上の更迭ね。
「皮肉だねー自分で絞めた首でしょ」
「まぁ、そうなんだけど」
俺はジュンミョンさんからの情報をパソコンに入力していく。
…めっちゃ疲れた。
朝から呼び出されてもう3時間、みっちり情報詰め。
「疲れたんだけど」
「そうか…もう3時間…さすがに、もういいか」
「そうしてくれるとありがたいですねー」
パタン、と俺はパソコンを閉じてあくびをする。
「…てっきり、チャニョルの記憶Aから消したこと、怒られるのかと思った」
探りを、入れてみる。
「消した？Aさんの記憶を？」
…どっちだ、この反応…知ってるのか、知らないのか…。
「うん。ベッキョニヒョンがそーゆー薬開発してくれて」
「そうか…ベッキョンが…」
お、これはもしかしてビンゴ？
「うん。チャニョルの記憶だけ消したの」
「…で、どうしたいの？」
「え？」
なんでこんなに、余裕そうなんだ、この人…。
「何か企んでます？」
「それはこっちの台詞だよ」
あーうざ…。
ジュンミョンさん…俺苦手なんだよ、この人。
頭の回転早いし洞察力も高いし記憶力もずば抜けて良いし冷静沈着で何考えてるか分かんない。
しかも曲がってしまった人間とはいえ、元々は真っ直ぐな性格。
真っ直ぐな人ほど面倒臭い、ってやつ。
もしかしたら全人類の中で1番苦手な部類かもしれない。
「また呼ぶよ。まだまだ資料残ってるからね」
「…そんなに俺を縛りつけたい理由は何ですか」
「縛りつけたいって…それは君がAさんにしていることだ」
…そーだけど、何。あんたになんでそんなこと言われなきゃいけないの。
「変なこと、しないでね」
「変なこと？」
笑ってる。笑ってやがる。
「そーそー、変なこと。アイツをAに近づけないで」
「うーん、Aさんから近づいてくるんだったらしょうがない？」
…やっぱり、何か企んでる。
「セフンくん…」
ジュンミョンさんはかけていた眼鏡を外した。
「また来てね」
…この人探るの、もうやめよ。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月14日 10時
