117.他人行儀 ページ16
＜チャニョル＞
どうやら、ミンソクさんとジョンインは仲が悪いらしい。
しかも、ミンソクさんはジュンミョンさんの友人で…強力な助っ人だ！
「あ、水持ちますよ」
「うん、ありがとう」
ミンソクさんから桶を受け取り、Aとジョンインの元へ向かう。
「ジョンインはあの様子じゃ、Aにぴったりくっついて離れなさそうだな」
「そう、ですね…」
「まるで番犬だな」
「…確かに」
「ジョンインには二面性がある。好青年の顔と、Aを守るためならなんでもするダークな顔。使い分けてるんだ」
「なるほど…」
「昔は、俺にも懐いてたんだけどな…」
「そんなに前から知り合いなんですか？」
「ギョンスとAを通じて知り合った。年の差はあるけど、Aとジョンインは幼馴染みだし、ギョンスと俺もそうだよ」
なるほど、そういう関係性か。
ミンソクさんと話しながら歩いていると、お墓に着いた。
「あら、チャニョルさんが運んできてくださったんですね、ありがとうございます」
「いえいえ」
チャニョル、さん、か…呼び捨てでいい、って言ったの、Aの方なのに。
敬語でチャニョルさん、と言われるたび、心にグサッと刺さるものがある。
それから、俺もギョンスさんの墓の前で手を合わせ、無事墓参りは終わった。
…ジョンインの目線は怖かったけど。
あくまでギョンスさんの同僚だと振る舞った。
ジョンインにとっても、それが都合が良いらしく、俺を突っ込んだりはしなかった。逆にフォローしてくれたくらい。
ボロが出た時、Aが俺のことを怪しむからだろう。
極力、俺の印象を薄くしたいように感じた。
行きと同じくミンソクさんの車で、家へと帰る。
「着いたよ」
「ミンソク、ありがとね」
「うん。チャニョルくんは、どうする？良かったら家まで送ってくけど」
「はい！ありがとうございます！」
「うん、そうしてもらってくださいね。今日はわざわざありがとうございました。では」
Aはそう言って、俺に微笑みかけてからジョンインと家の中に入っていった。
車内には、俺とミンソクさんの2人だけになる。
「作戦を、練ろうか。ジュンミョンも呼んで、俺の家で」
「良いですね、お願いします」
ミンソクさんは頷いて、電話をし始めた
…すごく助かる。ありがたい。
さて…Aが俺の記憶を無くす、なんて、とんでもないことだ。
ここから、どうやってAを救うか…。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月14日 10時
