勿忘草は誰が為に (ページ26)

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25.睨む目ページ26

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『ただ１つ、確実に言えるのは…あの人、別れ際、俺を睨んだ、もの凄い目で』

「睨む…？」

「うん、ずっと俺のこと見て怖い顔してて、なんか俺威嚇されてんなーって思ってた」

…ベッキョンの勘は当たる、それは鋭い観察眼の元来ているから…。

「気のせいじゃ、ないかなぁ〜」

「あの人もAのこと好きかもしれないんだよ？もっとアタックしていいんじゃねぇの？」

「う、うん…」

『あの人、やめといた方がいいと思う』

…なんでアイツの言葉を思い出すんだ、ここで。

「…なーんかAらしくねぇな〜。アタックするって決めたらもう行く！って感じだと思ってたのに」

ベッキョンはそう言うと、突然手を挙げた。

「すいませーん！」

ジョンインさんを呼ぶベッキョン…

「ちょ、何してんの、やめてよ…」

恥ずかしい、と言う私の制止も効かず、ジョンインさんがこちらに歩いてくる足音が後ろからして…

ジョンインさんも私のこと好きなのかも、となったらそれはまぁより一層意識するわけで。

久しぶりの恋に、ちょっと怯えております…

いや、もう一つ。

ジョンインさんが、睨んでいた、と2人から言われて…ほんの少しだけ、疑念が生まれたのもあるかもしれないが…。

「はい、なんでしょう」

「この料理って、ジョンインさんが作られたんですか？」

私の隣にやって来たジョンインさんにそう聞くベッキョン。

「あ、いえ、僕じゃないんですけど…」

「え？」

「ん？」

てっきりこのカフェはジョンインさん1人でやっているものだと思っていたからびっくりしてジョンインさんの方を見上げると、ジョンインさんも私の方を見ていて、数秒間見つめ合う…

やっぱかっこいい…

「ん゛ん゛っ！！」

わざとらしすぎる咳払いが聞こえて慌てて正面を見ると、顔を歪めたベッキョンがジトッと私を見ていた。

「えぇっと…じゃあ、どなたが作られてるんですか？」

「調理師免許持ってるヒョンが、ランチタイムだけ料理を作ってくれるんです」

話を進めようと私が聞くと、そう答えてくれたジョンインさん。

「ヒョン…今もキッチンにいるんですか？」

「はい。普段は表には出てこないんですけど」

「へぇ…」

何回も来てるのに、初めて知った。

ランチタイムってことは、前の日曜日来た時も、バックヤードにいたのか…。

確かに、一人でコーヒーと料理を作るのは大変だもんな。

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