勿忘草は誰が為に (ページ18)

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17.やめといた方がいいページ18

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「…どう、して」

「…いや、上手く言えないんだけど…」

その端正な顔を歪め、きゅっと私の手首を握るチャニョル。

「ただ１つ、確実に言えるのは…あの人、別れ際、俺を睨んだ、もの凄い目で」

それは…ただ単に、あなたが私と別れたくなくて、ジョンインさんと近づかせたくないためについている嘘では？

「もちろん、俺の気持ちも…ある。俺…やきもち焼き、だからさ…Aも、知ってると思うけど…」

知ってる。さんざん振り回されたから。

こんなに顔が整ってて、明るくて誰にでも好かれるような人なのに…私に対して、不安で仕方ない様子だった…

いや、なにを思い返してるの。

騙されちゃダメ。

「…ご忠告、ありがとう。あなたみたいな人なら、やきもち焼いてもそれを可愛いと思ってくれる女の子に出会えると思います。では」

「ちょ…！」

私はチャニョルの手を振り解き、エントランスを解除してマンションに入った。

彼は追いかけて来なかった…大きい図体の癖に繊細だから、あれだけ言ったら傷ついたことだろう。

「…はぁ」

カバンを投げて、家のソファに体を沈める。

今日は、疲れた。

床に放り投げられたカバンから、あの財布がこぼれ落ちている。

『その財布…どこで買ったんですか？』

『へ…』

『あ、いや、素敵な財布だったので、つい…』

あの時の会話、覚えてくれていたんだ。

あの時から、まだジョンインさんの記憶はリセットされていないみたいだし…

てことは、あの記憶を無くしていたら、ジョンインさんはその財布を届けてくれなかったかもしれなかった…。

そう思うと、財布が戻ってきて良かった、という安心感よりも…ジョンインさんが来てくれたことへの嬉しさの方が、勝っている気がした。

…けど。

『あの人、やめといた方がいいと思う』

普段はにこにこしているチャニョルが、真剣な話をしている時に見せるあの顔と。

『へぇ、名前も教えるくらい親しいんだ』

教えた記憶のないのになぜか知っている名前…

「いやいやいや！」

前者は、チャニョルが嫉妬しただけ、後者は、私が忘れているだけ。それだけだ。

明日も仕事だし、さっさとお風呂入って寝よう。

…..

『○月×日(月)

〜〜〜〜〜。

〜〜〜〜…

〜〜Aが財布を店に落としていたので、家まで届けた。

なぜか彼がいたので、つい睨んでしまったと思う。

…やりすぎたかな。』

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