君なしじゃ生きられない (ページ8)

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『…ぶ、薮…』

虚ろな意識の中、たしかに何か声が聞こえて目を覚ます。おもむろに横を向くと、光が目を丸くして泣きながら俺を見ていた。

「ひか…『薮！？生きてるの…？！』

返事をした俺にホッとした顔をして、また泣きながら俺に抱きついてきた。
こうして夜中起きこされるのにも、もう慣れてしまった。

「また怖い夢見たの…？」

『…うん…。薮が、し、死んじゃう…っ夢…』

そう言いながらしゃくりあげて泣くので、俺はゆっくり背中をさする。

死んじゃう夢…か。何だか、日に日に夢が過激になっていくような気がする。

前は俺にフラれたとか、俺が他の人のところに行っちゃったとか、そんな感じだった気がする。

「大丈夫。俺生きてるし、光を残して死んだりなんかしないよ。」

『ほんと…？』

「ほんと。」

安心させようと思って「ほら、体も透き通ってないし、抱きしめられるでしょ？」なんてふざけて笑って見せたら、光は真面目に俺の体を触り、「ほんとだ…」って言ってまた泣いた。

そしてゆっくりと体を離すと、また何度目かの「ごめんね」を言った。

『ごめんね、薮…おれ…ご飯も着替えもお風呂まで…全部薮にしてもらって…』

「いいよ、全然。俺が好きでやってるんだから。」

『でも……』

「…でも…？」

下を向いてもごもご話していた光が俺の方を向いて、涙目のまま苦笑いをして言う

『俺、薮がいないと1人じゃ何もできなくなっちゃう』

その言葉に、思わず笑みがこぼれる。

「いいじゃん。俺が一生一緒にいるんだから。」

そう伝えると、光は目を潤ませながら嬉しそうに笑って、どちらからともなく唇を寄せた。

「俺がいないと生きていけないくらいになれよ」なんて言ってみたら、光はふふふと笑い、そしてこう言った。

『もし薮が死んだりしたら、俺も一緒に死んじゃうからね。』