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俺の言葉に、光は無言で首を横に振る。
さっきまでみんなと笑顔で練習していたのに、突然こんな風になってしまった彼。
普通だったら体調が悪いのかなんて焦るところだけど、俺はすごく冷静だった。
なんでかというと、光がこんな風になるのは初めてじゃないから。
リーダー的存在としてみんなをまとめてる光。
彼の気苦労は底知れないだろう。だけど、その胸の葛藤を他の人に打ち明けることはしない。
全部自分の中に溜め込んで、誰にも迷惑をかけないようにする。
もちろん、顔にも出さない。
誰にも心配をかけないように、いつも笑顔で、頼もしく、みんなを引っ張っていて。
だからこそ、彼の心はだんだんと壊れていった。
初めてそれが現れたのは、2人でご飯を食べてる時だった。
光の作ったカレーライスを、二人で美味しいねーなんて言いながら食べていたら、突然光の目から涙がこぼれ落ちた。
俺はびっくりして、中辛だけど辛(から)かったのかなとか舌でも噛んじゃったのかなとか慌てたけど、
当の本人が一番驚いていて
「あれ、なんで俺泣いてるの…?」なんて言いながらニコニコ笑っていて、でも涙は言葉に反してどんどん溢れていた。
その日から、光は本当にたまにだけど、発作みたいに、気持ちが不安定になる日が来るようになった。
その時の光は、無気力になって、わけもなく泣いてしまったり、最近では俺に小さな子供みたいに甘えるようになった。
ネットで調べてみたら、いわゆる、幼児退行ってやつみたい。
そうなった光は、1人で着替えもできないし、ご飯も食べられない。
だから俺が代わりに全部してあげる。
料理も、掃除も、着替えも、夜寝かしつけるのも。 料理は難しいけど…。
歩けない光をお姫様抱っこして、練習場所を出る。
男が男をお姫様抱っこしたまま電車に乗ることもできないし、かと言って下ろすこともできないので、タクシーを拾って乗り込む。
幸い運転手さんはおじいちゃんで、行き先を聞くとその後は俺たちに興味もなさそうにただ車を走らせてくれた。
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宏翔莉(プロフ) - とても面白いお話でした。ほかの作品も見たいと思いましたし、続きもできれば読みたいです!これからも頑張ってください! (2017年9月20日 21時) (レス) id: 82d5470401 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢羽花 | 作成日時:2017年9月8日 19時