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『ウー……』



微かに聞こえるそれは間違いなくのんのもの。
怒りを抑えた声にも悲しみを堪えた声にも聞こえて、心臓が痛い。



「ほら、喋らねぇじゃん…唸ってるだけじゃ何も分かんねぇよ」


「何も分からないならのんがやったって証拠もないじゃない。あなた、のんだって決めつけたいだけでしょう?」


「うるせぇな!お前ちょっと黙ってろ…」



フッ、と消えるかのように前島の言葉が途切れた。



『ヴー……!!』



のんが前島の首を持って持ち上げたから。



「…のん?」



目を疑った。
今目の前にあるのは…のんじゃなく獣の姿。
狼のような毛並みをして、爪もするどく尖っている。



『ヴー…!ハァ…』



グイグイとそのまま閉めていくのん。
抵抗する前島の顔は真っ赤で、今にも……



「待て」



動きが止まった。
思いの外震えたあたしの声が届いたようだ。



ドサッ、と倒れる音と咳き込む前島。
首には後ろの方まで赤い跡がついていた。



「かはっ……っ、覚えとけよ…」



危なかった。
犯罪者になってしまうところだった。



「のん……あれ、何?」



もう一度のんを見るとそこに獣はいなくて、いつもの細長い人間。



あたしの質問に答えることなく家の中に入ってしまったから、それ以上つっこめずお母さんと二人、内緒にしようと言い合ってその日は眠りについた。

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カジャリア(プロフ) - さなさん» てんきゅー (2017年10月25日 22時) (レス) id: 7a9558f5e1 (このIDを非表示/違反報告)
さな - 完結おめでとう!! (2017年10月25日 22時) (レス) id: c26a9b22a0 (このIDを非表示/違反報告)
カジャリア(プロフ) - sitさん» ありがとうございます…m(_ _)m 頑張れます! (2017年10月21日 19時) (レス) id: fd3d27ebdd (このIDを非表示/違反報告)
sit(プロフ) - カジャリアさん» ha-haの方もこれからですが読もうと思います。応援してます! (2017年10月21日 18時) (レス) id: 3b18da8fe4 (このIDを非表示/違反報告)
カジャリア(プロフ) - sitさん» 泣 い て いただけたんですかー!!嬉しい、嬉しい!ありがとうございます!頬の緩みが…(´ω `=) (2017年10月21日 17時) (レス) id: 7a9558f5e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カジャリア | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kajya1734  
作成日時:2017年9月27日 21時

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