キミとピアノに惹かれて【斉藤壮馬】 (ページ5)

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壮馬side

アニメの収録が終わった。

俺は帰ろうとしている雅楽川さんを追いかけ、声をかけた。

「ちょっといいですか？」

さっきと違い、人が全く居ないから、少し緊張してしまう。

雅楽川さんは、こっちを振り向いて、少し驚いた仕草を魅せた。

「はい、いいですけど･･･」

少し遠慮がちにだったけど、返事をしてくれた。

そして、勇気を出して声を張った。

「ラビチャ交換しませんか？」

そう言うと、雅楽川さんは、ニコッと笑って

「いいですよ」

と言ってくれた。

さらには、

「あ、敬語じゃなくていいですよ。あと、苗字は嫌いなので名前で呼んでください」

そんな事まで言ってくれた。

"苗字が嫌いなので"ってところは少し気になるけどそこは触れないようにした。

だって、そんなことよりも、名前で呼んでくださいって言ってくれたことの嬉しさの方が大きかったから。

俺はちょっと余裕ぶって、

「うん」

と言った。

うたがｗ･･･じゃなくて、紡祈ちゃんが名前呼びを提案してくれたおかげで、いいことを考え出せた。

「じゃあ、俺のことも名前でいいよ」

なんて、ちょっと意地悪く言った。