ROUND 170 ページ38
「終わりそう？明日には撮影でしょ？」
「明日……」
テヒの言葉に
目の前の台本に目を落とした
いつの間にか時計の針は0時を回って
“明日”って言葉に気が焦った
けど
「もうバッチリだよっ」
そう顔を上げれば
ぺちっ
「嘘つくなっ」
テヒの細い指が、私のおでこを軽く叩いた
「意地張らないで
いつもみたいに、皆にお願いしたら……？」
溜め息交じりなテヒの声
呆れた声色に
「なんで……何も聞かないの？」
私が倒れた日も
私が夜中に出掛けた日も
今も
テヒはもちろん、エリナもアナンも
何も聞かないでいてくれる
「聞いたら、教えてくれる？」
そうテヒが笑って
小さく溜め息
「Aだって
私達の事、知りたがらないじゃない」
そう言われて、目を合わせられなくなる
テヒも、エリナもアナンも
過去にそれなりの活動をしてきて
何かしらの理由から
Tea.として
再度デビューしたんだ
きっとそこには聞かれたくない事だって
辛かったり苦しかった時だってあったはず
でもそれは
私の勝手な思い込みで
みんなは気にしてない事だったのかも知れない
「Aがもし、自分の事を聞かれたくなくて
私達の事を聞かないのなら
私達は、Aの気持ちを尊重するよ
だから、何も聞かない
どうしても、って時は
話してくれるって信じてるから……
それはAも同じでしょ？」
テヒの言葉に
ぎゅっとマグカップを持つ手に力が入る
きっと心配してくれたあの日も
私を信じて行かせてくれたんだ
きっと今だって
心配して様子を見に来てくれてー
ペンを片手に台本を引き寄せたテヒ
「でも、無理したら怒るよ？」
そうテヒが台本の横に書いた英文
きっと訳してくれた言葉
「それに、私達にだって
もっと頼ってくれてもいいんじゃない？
先輩達よりは頼りないけどさっ」
冗談めかして笑ったテヒ
「うん……そうする」
きっと冗談みたいなテヒの言葉は
ずっと私に言いたかった言葉だって分かるから
素直に受け止めなきゃいけないんだ
「じゃ、テヒ様が手伝ってあげようっ」
「あのね、テヒ……英語のがわかんないかも……」
「はぁ？
まったく……ほんと、Aは“純日本人”ね」
そうテヒが呆れ笑った
その日の夜
テヒの力を借りて
台本の解読を無事に終わらせた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1008人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LINK | 作成日時：2017年11月24日 22時
