LIAR INFERNO-法螺吹きの業火-【合作オリジナル】 (ページ27)

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第26話ページ27

【如月直】(くろーさぎ)

「あれ？」

自室にて、鞄から壊れたスマホが出て来た。

「連れ去られる時、抵抗したからかな。他は無事だね」

0時までまだ時間はある。おれはいつものようにノートを取り出し、万年筆を持った。

『北坂紫さん……リーダー格。命を粗末にする事が嫌い。根音さんと対立しないよう注意。

橘奏多君……一人で抱え込むタイプの人。冷静でお人好しそうだけど、もしかして疑ってる？

時雨神音さん……明るく元気なイメージ。裏表の激しそうな人。悪印象を与えないようにする。

根音血亞さん……命を絶とうとするのを止めつつ理由は問わない。一人称が変わったら注意。

佐々木蒼人君……大人しそうだが芯は強い様子。身体が少し弱い？礼儀正しいし良い人そう。

済城花綾さん……一匹狼。場の空気を乱す発言には注意しつつ、少しずつ距離を縮めていこう。

波風射美子さん……皆と一緒にいる気はないため必要以上に近づかず、信頼関係を築く。』

「名前を知らない人は、また後で聞こうっと」

ひとまず書き終えて、おれは万年筆を置いた。

「こうしてみると、癖の強そうな面子だな……」

このノートはおれが皆と仲良くなる為に、喧嘩を防ぐ為に毎日書いているものだ。その人の簡単な特徴をまとめておけば、自分がどんな風にその人に接すれば良いかが分かる。ただし、おれの思う良い所も悪い所も書いてあるので、他人に見せるわけにはいかないけれど。

コン、コン。ノックの音がした。

「はーい」
「直くん？奏多だけど、いい？」

おれがノートを片付けるのと同時に、橘君が入って来た。

「今、何かしてた？」
「いや？これからどうするか考えてただけだよ」「良かった。紫さんが、ロビーに集まってって」

もう日も暮れているようだし、0時まで待つんだろう。おれは橘君と一緒に廊下に出た。

おれの部屋は303号室。一応男子と女子を分けた方が良いという事で、男子の部屋はこの辺で1箇所に集まっている。

「あぁ、如月さん」

先に橘君が呼んだんだろう、廊下には佐々木君とあの金髪の男子が居た。おれは歩きながら訊く。

「ねぇ、名前、何ていうのか教えてくれない？」「……俺のか？」

迷っているのは、おれが信用出来るか分からないからだろう。なるほど、用心深いタイプだな。

「……十文字。……誰かに、勝手に教えるなよ」

彼はそう言い、先にロビーに入って行った。おれも橘君と佐々木君と一緒に、皆の所へ向かった。