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授業が始まる前に、気配を消して屋上に続く階段を登っていく。通常なら屋上に出ることは出来ないのだけれど、木曜日のこの時間だけは特別で。
週に1回入る掃除の業者さんがここのカギを開けっ放しにしたまんま、よく忘れて行くことがあるのだ。
閉じ込められたとしても内側からは解錠出来るし、念の為行われる屋上の巡回も入口付近を見てすぐに終わる。
これは、3年の時同じクラスの子から聞いたことがあっただけで、決して上がってみようなどと思ったことは無かった。
予想通りというか、言い伝え通りに屋上の鍵は開いていた。不用心だなあと思いながらも外に出ると暖かい風が吹き、青空が一面に広がっていた。
空気の籠った教室から、一瞬にして気持ちいい爽快感に包まれる。
幸い天候もよく、こんな綺麗な景色を見ずに学校生活を終えてたなんて勿体無いなと思ってしまうほどだった。
巡回に見つからないように屋上の奥の方の水タンクの裏に隠れ、すぐ側の地面に座り込んだ。
たまには、こんな時間も悪くない。
授業も始まり、昼休みとはうってかわりすっかりと静かになった。ただ広がる青空を眺めぼーっとしていた。
どれ位時間が経っただろうか。気がつけば、陽だまりにやられウトウトと眠り込んでいたようで、ハッとして目を開けた。
『ぅわあ!』
「うぉっ!...びっくりした」
目を開けてみれば、私の顔を覗き込むようにして今市隆二が…、何故だか立っていた。
私が突然目を開けるものだから向こうも相当驚いたようで、目を大きく開けてぱちぱちと瞬きを繰り返していた。
隆二「…委員長もズル休みとかするんだね」
『今日は…たまたま』
隆二「そっか」
それだけ言葉を交わすと私の横にしゃがみ込み、あろう事か煙草を吸い出したのだ。
『…たばこ』
隆二「ん?委員長も吸う?」
『いや、吸わないです。あの、それやめた方がいいと思います』
隆二「なんで?」
『なんでって…』
あまりにもそれがごく当たり前のように言うものだから返す言葉が見つからなくなってしまって、私は黙り込んでしまった。
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葵(プロフ) - なつまつりさん» コメントありがとうございます!共感のお言葉嬉しいです(*^^*)更新は遅いのですが良かったらこれからも見てやってくださいm(_ _)m (2019年10月3日 20時) (レス) id: 8a8cdb1742 (このIDを非表示/違反報告)
なつまつり(プロフ) - 初めてコメントします。EXILEさんのSummer time love!私も青春真っ盛りの高校時代に良く聴いていました。お話が曲にピッタリで、私も夏が好きなのでとても楽しいです。 (2019年9月29日 23時) (レス) id: f5235ef8fc (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - さこさん» さこさんありがとうございます(;_;)!これからもどちらもよろしくお願いします( ´ ▽ ` ) (2019年9月7日 9時) (レス) id: ea5accdc2b (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - LINE@楽しかったです(^^)9日から〜のLINE@も楽しみにしてます(^^)このお話の続きも楽しみにしてます(^^) (2019年9月6日 22時) (レス) id: d95e73f21b (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - atokさん» 実はそうなんです(._.) (2019年5月23日 8時) (レス) id: ea5accdc2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作成日時:2019年4月1日 22時