7頁目 ページ7
朝起きたら隣に金子先輩がいる、
何故か最近の定番の光景である。
「昨日はありがとうございました」
「いえいえ」
「迷惑かけてないですか?」
「可愛かったから大丈夫」
意味わからん理論を唱える。
一晩たってすっかり具合も良くなって──────すこし、頭は痛むけど。
「ていうか先輩のお仕事は」
「オフです」
「……」
タイミングがよすぎないだろうか。
私が困っている時に狙い済ましたかのように休みがある。
私だって野球はすきだし、見られる範囲で見てはいる。
「Aのお仕事は?」
「今日はおやすみです」
「そか」
呼び捨て。10年以上されてなかった。付き合ってた時以来だ。
髪は染め直したのか、この間のド派手な茶髪から落ち着いた濃いめのブラウンにかわっている。サラサラ感も増してるし、女より髪に気を使ってんじゃないかと思う。
私だって、先輩が濃い茶髪好きやねんって言ってたの聞いたとき、
染め直したんだけどなぁ、会う機会なかったし。
今では落ち着いた黒髪に戻してるけど、
……おそろいにしてみようか。
「なぁ、なんで俺ら付き合ってないん?」
「え?」
「恋人やろこのシチュエーション」
「別に私が他の女でもこうなってるでしょ」
「どうかな」
そういえば、別れるときに先輩からは何も言われなかったな。
私が一方的にさよならって、言ったんだっけ。
引き留めてくれるわけでもなかったし、
その程度だったんだなーとしか思ってなかったんだけど。
「先輩は、いまでもわたしのことすきですか」
自分でも馬鹿なこと聞いたなぁとは思ってる。
「好きやと思う?」
首を横に振ることも、縦に振ることもできなかった。
355人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃみ - お話惹き込まれて一気読みしてしまいました…!ドストライクで凄く好きです。素敵なお話をありがとうございます。いつかまた更新されることを願っています! (2021年5月6日 0時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:縁 x他1人 | 作成日時:2019年7月24日 22時