検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:114,190 hit

36頁目 ページ36

それから、侑司くんの願望は叶って。
私は侑司くんの脚の間に挟まれて髪をとかされているという謎の状況。
───────ぜったいとかしにくいやろ。ていうかわざわざとかす必要ある?




「う、かわええなぁ」


「何もしてない……」


「存在が」




お酒が入ってるのかもしれないけど、やたらゆるゆるしてる。
口調も緩いしやっぱり飲んできたのかなぁ、最近家で2人でビール飲んだりしてない。私が弱いから心配かけちゃうんだよね、




「かわいい」




そう言って私の首筋を撫でる。……だめだ、こういうことな。
お酒入ってるフリして抱こうとでもしているんだろうか、これも、口実作り?

そうっと輪郭の縁に沿うようにその優しくて温かい指先を触れる。こそばゆい。
後ろからの吐息と揺れる髪の毛が耳にかかって身体がびくびくしてしまう、だめだ、そういう気分になってしまうじゃないか。さらさらの髪はいい匂いがする。やっぱりお酒なんか入ってない、紛れもない侑司くんの香りだ。




「好き」



そっと口付けをする。



「わたし、も」


「しよか」


「ここで?」


「どこでも」






どこでも、なんて馬鹿みたい。こんな明るいリビングでする、なんて有り得ない────


でも侑司くんはそんなことおかまいなしに私の身体に手を這わせる。
求めていた体温だった。知らないうちに侑司くんを求めてるのかぁなんて思うとなんか気恥ずかしくて、もう一方の手を握ると侑司くんは私の弱いところをゆっくり暴きはじめる。


知ってるくせに。ぜんぶ、




「もっと、してよ」


「やだ」


「いや、ぁ、……もっ、と」




焦らすのも上手いんだ。淡々と指を動かして、ときどき愛の言葉を囁いて、
ぎゅっと繋いだ手を握り返すから、温かい手が触れるから、





私はまた侑司くんのことが好きになってしまう。

37頁目→←35頁目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (133 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
355人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちゃみ - お話惹き込まれて一気読みしてしまいました…!ドストライクで凄く好きです。素敵なお話をありがとうございます。いつかまた更新されることを願っています! (2021年5月6日 0時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: x他1人 | 作成日時:2019年7月24日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。