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鳴り響くスマホからの警報音。つらい。怖い。


「外出られへんなぁ」


「当たり前でしょ」



数十年に1度とも言われる災害を引き起こす恐れのある台風を迎えている身としては有り得ない発言である。こんなとき侑司くんが家にいなかったら私は不安で死んでいたかもしれない。クライマックスシリーズが所沢で本当によかったとしか言わざるを得ない。




「雨の音、凄いね」


「確かAってこういうの苦手やなかったっけ」


「え?知ってたっけ、侑司くん」


「大雨の日にふたりで相合傘して帰ったなぁ」



恥ずかしい、そんな記憶は抹消してしまっている。
学生だからできるんだなぁとつくづく思う。10年も前のことをよく覚えてるなぁ、侑司くんは。今の状況では生憎相合傘なんて到底無理で───────家の中でニュースを見ながら大人しく過ごすだけで精一杯。マンションが川の近くじゃなくてよかった。



「はぁ……」



どうしてもこの天気だと憂鬱になってしまう。





「ため息ついてたら幸せが逃げてくで」


「侑司くんといるだけで幸せだもん」


「いや、嬉しいんやけど────そう言って欲しかった訳やなくて」


「違うの?」


「違わへん!好きや」





ちょろい。演技なのか知らんけど。
ふたりなら台風も乗り越えられそうな気がします──────────



「窓、ガタガタ言っとる」


「養生テープでも貼る?」


「いや、ここマンション」




それに、侑司くんがいれば養生テープなんてなくても安心やし────────そんなこと、恥ずかしくて言えないけどね。

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ちゃみ - お話惹き込まれて一気読みしてしまいました…!ドストライクで凄く好きです。素敵なお話をありがとうございます。いつかまた更新されることを願っています! (2021年5月6日 0時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作成日時:2019年7月24日 22時

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