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先輩はまた、私の顔を見つめる。
返事は今じゃなくていいって言ったにも関わらず、急かすような目で。
駄目だ、私はこの人に弱すぎる。
優しくなったね、と言ったはいいものの。
やっぱり先輩には私は釣り合わないんではないかと思ってしまう。
私がずっと先輩を追いかけてるとき、美人なアナウンサーとの熱愛報道だってあった。
浮気してる、なんて報道してる雑誌も何回も見た。
……先輩の「好き」を、信じられるほどもう私は幼くない。
「先輩、本当に好き?」
「そんなに言わせたいん?」
「だって、私……」
過去の出来事がふと頭をよぎった。
「もう、本当に辛い思いしたくないんです。高校の時みたいに」
「それは、───────」
「先輩がモテモテなのも知ってました。でも、あれはないと思います」
小さな、ほんの小さな記憶。だけど、それが私の心に一生消えない傷として、残ってる。
だから、重いって言われてすぐ彼氏とも破局してしまう。
鮮明に、覚えてる。
高校二年生のときのあれは、卒業まで秒読みの、桜の咲く日だったっけ。
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ちゃみ - お話惹き込まれて一気読みしてしまいました…!ドストライクで凄く好きです。素敵なお話をありがとうございます。いつかまた更新されることを願っています! (2021年5月6日 0時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縁 x他1人 | 作成日時:2019年7月24日 22時