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「知らんとかない」
「知らんもん好きちゃうもん」
「関西弁出てるよ」
「……」
知らん、知らん知らん。
付き合わんの、じゃない。好きなんて言ってくれてない、勘違いするな。
好きな訳じゃない、付き合わんの、っていうことだ。
「付き合わんの、って言うだけで好きとは言ってないじゃないですか」
「好き」
「え?」
「Aのことが好き」
「ちょ、」
「好きやないやつに付き合わんの、なんて言わん」
好き、なんて面と言われたことは少なかったっけ。
告白された時と、あと──────────?
……ないのかもしれない。本当に、あの時は独りよがりだった。
「離れて、もう無理やって知った」
「……っ」
「どんだけ俺が好き勝手してお前に辛い思いさせてきたかって」
「嘘、私が好きで一緒にいただけなのに」
「その気持ちに甘えてたんやんか」
真剣な顔だった。首筋のかすかな痛みと、有り得ない告白が重なってまた涙。
無理。無理すぎる。
「今すぐ付き合いたいとか言わんから、俺もありやって思っといて」
「うん」
「Aから好きって言ってくれるまで、待つよ」
「……優しくなったね、侑司くん」
ほんと、そういうところ好きだ。
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ちゃみ - お話惹き込まれて一気読みしてしまいました…!ドストライクで凄く好きです。素敵なお話をありがとうございます。いつかまた更新されることを願っています! (2021年5月6日 0時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縁 x他1人 | 作成日時:2019年7月24日 22時