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朝起きたら隣に人がいた。

記憶が無い。男だ。うん。髪はやたらつやつやさらさらしている。
なぜか服を着てないし、身長は割と高く見える、あと筋肉質で細い。

後ろを向いてるから顔はわからないけど、なんか知ってる。
嫌な予感がした。



わたしは女の子真っ最中だし、服を着てないからって気にすることは無いのだが
人に心当たりがあって不安になる。

───────それが大好きな憧れの人かもしれなくて。

さらさらした髪質も、細い首も、暗くした髪の色も、体型も、なにもかも、
あの人に似ている。



男が起き上がる。顔をこちらに向ける。




「あ、ごめん。部屋借りとった」



「かねこ、ゆーじ」



「俺の名前知ってんの?」



「ふざけないで」




高校のときから、一緒でしょ。
私ずっと、君を追いかけてきたんだよ。




「Aちゃんかぁ」



「ほんとに覚えてるの」



「生意気やったからねぇ」



「先輩の方が生意気やった」





野球部だった、1歳上の金子先輩。
かっこよかった。人一倍輝いてた。


金子先輩が部活から引退した後少しだけ付き合ってたんだっけ、私。
結局別れてしまったしあまり掘り返したくない過去だ。


会いたい。でも、会いたくない。




「……私だとわかってて声かけたんですか?」


「うん」


「悪質ですね」


「口説くの、上手いんやで」


「知りません」


「口説かれたうちの1人が何言っとんの」




口説かれてない。口説かれたわけじゃない。
先輩が私を好きって言う前から、
私はずっと先輩のことが好きだった。

みんながイケメンだのなんだのって騒いでるのに興味無いふりしてた私の好意を見抜いて言いよってきたくせに。今となってはどれだけ(うそぶ)いてたかよくわかる。




「せっかく寝られるかと思ったらこれやもん」



寝られる、なんて意味深な言葉を呟いて、

私の目元で生理痛の薬の箱をひらつかせる。



「悪かったね」


「なんやお前、変われへんなぁ」


「先輩も変わらん」


「具合悪いんやったら動かんかったらええのに」




具合悪いんだったっけ、
先輩に全ての感情を持ってかれて、いまいちわからない。

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ちゃみ - お話惹き込まれて一気読みしてしまいました…!ドストライクで凄く好きです。素敵なお話をありがとうございます。いつかまた更新されることを願っています! (2021年5月6日 0時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作成日時:2019年7月24日 22時

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