1.入学 ページ2
『…よし』
鏡を見て身だしなみを整える。リボン似合わないな。
そんなことを考えていると、洗面台に置いた携帯がピロリンと音を立てた。
私が携帯を見ると、「riku」と表示されていた。ロックを解除し見てみると、「今日学校始まるんだってな！頑張るんだぞ！がおー！」というメッセージが来て、思わず笑った。
「ありがとう。行ってくる」と返信を返し、バッグを持ってドアを開けた。
ギリギリ締まりそうだった電車のドアに入り、吊革につかまる。
流れていく景色をぼうっと見つめていると、「よ」と声を掛けられた。
『…おはよう』
声の主は私の幼馴染――――心操人使だった。
君も確か雄英高校だったね、と言うと冷めてるなあ、と返される。
よく目立つ紫髪の彼は、何も話さない私を見て息を吐くと、そのまま黙って電車に揺られていた。
それから乗り換えをし、しばらく経ち、[雄英高校前]とアナウンスが鳴った。
停止した電車から降り、ビルのような建物――――無論雄英高校なわけだが―――――が見えた。
その中に入り、1-Aを探す。
広い。とにかく広い。
異様に大きなドアを開けば、チラホラと人は居るもののまだ全員は揃っていなそうだ。
私は「藍原」なので一番前の席だ。隣には金髪の少年が座っていた。席順表から見ると彼は「青山優雅」というらしい。
ふわぁ、と欠伸をすると金髪のツンツン頭の如何にも不良少年、と言った風貌の人が真面目そうな人に話しかけられていた。
「机に足をかけるな！ 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよてめーどこ中だよ端役が！」
端役…少なくともこれから高校生の間過ごすやつにそれはどうなのだろうか。
私は少し引きつつ真面目君を見た。彼は緑髪の少年に自己紹介をしている。
個性的だな、と思っていると後ろから声を掛けられた。
『何ですか』
「もしかして、試験の時同じだった人？！」
『…は？』
この人は何故ただ試験の時同じ会場だっただけの人間の見た目を覚えているのだろう。
私が「あなたなんて記憶にないです」という顔をすると、「あれえ、人違いかなぁ」と彼女は言った。
『多分そうです』
「え〜！でも、ブーメランみたいなの飛ばしてたから記憶に残ってたんだけどなぁ」
『えっ』
ブーメラン。それ私じゃないのか。私が虚を突かれ驚くと「あれっ、心当たりあるの？」と聞かれる
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作者名：YC | 作成日時：2024年3月16日 20時
