【ⅾ!】あなたの人生を歩みます。Ⅰ (ページ7)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:10,285 hit

社交界ページ7

それからというもの、私は事故で記憶を無くした
可愛そうなお嬢様となった。

可愛そうだなんて誰が言い始めたんだ、まったく。

両親は私に記憶がないことを知り、鳥肌が立つくらい壊れ物を扱うように
丁寧に接するようになった。

両親の話を盗み聞きする限り、
王族・貴族や現国王の同情をかうことで
エレノア家を潰そうとする勢力を牽制する狙いがあるのだとか。

もちろん、
以前の扱いを知っているからこそ腹立たしくて仕方ない部分もあるが、
いまのところ私に害はないのでおとなしくしている。

「お父様、お母様。本日はどのようにお過ごしでしょうか？」

朝食の時にそう聞けば、父の口から耳を疑うような言葉が聞こえた。

父「今日は、Aの回復を祝う会を開く予定だ。」

どうりで最近お屋敷の人の出入りが激しく
今日は朝から皆さん慌ただしく過ごされているのですね。

なんで当日まで黙ってたんだこいつ(口悪い)

母「Aを驚かせたくてね、ごめんなさいね？」

一瞬戸惑った顔をしたからか、そういう母。

父「親戚何名かと、ルミエール国とゆかりのある隣国から数名の方々を
お呼びしたからぜひ実りある時間にしてほしい。」

「実りある時間・・・？」

父「以前はなかなか社交の場にでることがなかったからな、
交友関係も広くなかったと思うが、今回のパーティーをきっかけに
友達作りや将来の嫁ぎ先なんかも見つけたっていいんだからな。」

母「あなたったら、気持ちが早いわよ」

「そうですか･･･。」

社交の場にでることがなかったのは
大方この二人が私をあえて出さなかったのが原因だろうが、
なんでこのタイミングで社交の場に引きずりだされるのだろうか。

私がかわいそうなお嬢様を演じることで
あらゆる縁談の話がきているのだろうか。
はたまた、王位継承の話をまたされているのだろうか。

もしくは
他の強い国との関係を持つことで
他の王族をさらに牽制する狙いがあるのか。

どれも当てはまりそうだな。

メイド「A様、朝食がすみましたらドレスを選びにいきましょう。」

「わかりました。ありがとうございます。」

こっちの世界にきて約1か月。
早々に社交界にだされるとは予想もしておらず、
内心焦っているのは事実だが、これもチャンスではある。

まずはこの世界の情報収集を
夜の時間までにしなければ。