【ⅾ!】あなたの人生を歩みます。Ⅰ (ページ6)

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唯一の光ページ6

花園AがA・エレノアとして転生したとき、
目の前にいたのは両親でもなくメイドでもなく、
瓶底メガネをした水色の髪を持つ男性だった。

？「A様、目が覚めましたか!!」

オレンジ色の瞳を少し潤ませながら手を取る彼を見るに
執事か護衛の方といったところだろうか。

当然ながら私に記憶はないので
彼を誰か判断することができない。

「ごめんなさい･･･私、自分の名前しかわからなくて･･･。」

そう申し訳なさそうに呟けば、一瞬心底つらい表情をしたのを
見逃さなかった。

「本当にごめんなさい･･･。」

この数分の態度だけを見るに、彼は唯一私のことを
本気で心配してくれている少ない人なんだろう。

？「大丈夫ですよ…って言ったらウソになるけれど、それだけA様はつらい思いをしてきたから、忘れたかったのかもしれないですし･･･」

悲しそうに笑うその表情を見て、
胸が苦しくなった。

＿＿＿エレノア、あなたのことを思ってくれている人は
少なからずこのお屋敷にはいたみたいよ。

ci「改めまして、僕はチーノといいます！A様の護衛をしておりました！」

「チーノさん・・・？」

ci「呼び捨てで構いませんよ？以前はチーノくんと呼んでいただいておりました！」

「チーノくん･･･？」

ci「ふふっ。最初は戸惑いますよね、少し意地悪言ってすみません。また少しずつでいいので、僕のことを知ってもらえたら嬉しいです･･･」

「わかりました･･･！よろしくお願いします。」

ci「A様のお父様とお母様にも目が覚めたことを報告してきますね！」

そういい、部屋をあとにしたチーノさん。
てっきりこの家には味方は一人もいない覚悟で来たので
面食らってしまったのは事実。

見渡す限り手の行き届いている整理整頓された部屋。
こんな綺麗な部屋でエレノアは孤独を感じていたのだろうか。
追い詰められるくらい悩んでいたのだろうか。

否、彼女は苦しんでいたんだ。

エレノアが私を精いっぱい生きてくれるなら
私もエレノアを精いっぱい生きなきゃいけない。

エレノアが成し遂げたかった事、
私がここでも成し遂げられそうなこと、
どちらも頑張りたい。

ふと机の上に飾ってある写真を見て、なおさら強く思った。
おそらく亡くなったお兄さんとの2ショットだろう。
2人共笑顔で映っているのが印象的である。

今日から私はA・エレノア。

二度目の人生、精一杯生きていきます。