【ⅾ!】あなたの人生を歩みます。Ⅰ (ページ21)

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牢屋という場所に似合わない私の恰好。

一体何が起こるのか想像もしたくなかった。

どれくらい時間が経ったかわからないが誰かがやってくる音が聞こえた。

「A様、お目覚めですか。」

そう声をかけたのは数少ないメイドの中でも割と長く働いていたエレノア家に仕えていた人だった。

メイド「あなたの世話をしたのは私です、ご心配なさらず。」

この状況でそのフォローは全然助けになっていない、頭の理解が追いつくわけがない。
エレノア家に仕えるメイドがなんでこんなことを？
そんなに私のこと嫌いだったのだろうか？

目に光がないメイドに支えられながら立ち上がり地下牢から出されると、ここがルミエール国の城の中だということがわかった。
ますます謎しか深まらない。

エレノア家と国王様ってそれなりの関係を築いていたのではなかっただろうか？

案内されたのは今まで通過してきたどの部屋のドアよりも重厚な作りをしており、特別な扉だということがわかる。

メイド「こちらです。旦那様がお待ちです。」

「旦那･･･様･･･？」

メイドの言葉に疑問を持ちながらも部屋に入る。

そこにいたのは国王でもない、
両親でもない。

「あなたは‥‥。」

？「ルミエール国の王子、オリバーだよ。よろしくね、Aちゃん。」

にこっと笑われるもその目が笑っていないことくらい私にもわかる。

というか王子ってどういうことだ？国王様に息子さんっていた‥･か？

いたら私に王位継承の話なんてくるはずないだろ？なぜ…？

オリバー「ははっ。頭が混乱しているみたいだね。メイドちゃん下がっていいよ。」

メイド「承知いたしました。」

機械のように返事をするメイドはオリバーさんに言われておとなしく部屋をでていってしまった。見ず知らずの男と二人きり、そんな状態に耐えられる精神状態ではなかった。

オリバー「僕はね、国王様に養子としてもらっていただいたんだ。」

私に近づき肩を寄せながらそういう彼。

オリバー「今まで隠し子として秘密に扱われてきた。だから知らないのも当然だ。僕はずっといつか国王になれるように軍に正体を明かして入隊して努力してきた。僕こそが王になるべき男だって信じてた。」

オリバーさんが私をベッドに座らせ抱き寄せる。
心意のわからない行動に震えが止まらなかった。

オリバー「でも、王位継承の話は僕にはこなかったんだ。」

冷たい目で彼はそういった。